20 羊娘2
彼女の体毛は顔を除いてほぼ全身に生えている。
ヒツジ人の特徴でもあるが、前は毎日の手入れが大変だと嘆いていた。
でも今はそんな愚痴をこぼすこともなくなった。
毎日の手入れをするのが僕になったからだ。
手入れ、とはいえシャンプーとリンスだけだが、なにせ量がある。
だがそれでも僕にとっては彼女に尽くせる数少ない時間だ。
手を抜くわけにはいかない。
彼女がお風呂に入ってすぐ、僕も脱衣所で服を脱ぐ。
そうするとちょうど彼女が顔を洗い終わるころにお風呂に入ることになるからだ。
「今日もお願いねー」
お風呂のドアを開けると、彼女はもうプラスチックのイスに座って僕に背中を向けていた。
ドアを閉めて、彼女の肩越しにシャワーのヘッドを取ってお湯を出す。
まずは彼女の全身を濡らすのだ。
彼女の毛は空気を含んでふわふわになっている。
そのため水をただ掛けるだけでは弾いてしまって肌の近くまでは濡れない。
だから小刻みに毛を掻き分けて、奥の方まで濡らす必要がある。
「んふふ」
「どうしたの?」
「ん、きもちいいの」
右手を細かく揺すりながら毛を掻き分ける動きが丁度マッサージのようになって気持ちいいらしい。
こっちは肌や毛を傷つけないよう毎日爪の手入れが大変なのだが。
それでも喜んでくれるのなら何よりだ。
濡らし終わったら次はシャンプーの頭を2,3回押して液を手に取る。
「さ、いくよ」
最初は頭から洗わない。
石鹸を含んだ水が頭から垂れて喋りにくくなるらしいからだ。
だまってじっと洗われているより、僕と話していたいという要望に僕は応えざるを得ない。
手の平に出したシャンプー液に洗面器に取っておいたお湯を少し足して泡立てる。
少し泡だったら小さい球形のスポンジを使って更に泡立てる。
そうして出来た泡を彼女の背中の毛に着ける。
泡立てるのは傷めてしまうから、極力やらない方が良い。
彼女の体毛もそうだ。
洗うときもごしごし擦ると肌を傷つけてしまうから、指の腹や手の平で優しく揉むように洗う。
肌を洗うのも兼ねているので、一緒に指の腹で擦ったりもする。
背中から、お尻の方に。
彼女のお尻は大きい。ヒツジにはお尻に脂肪を溜め込む種がいるらしいが、彼女のお尻も脂肪が付きやすい。
柔らかくて、揉み心地のいいお尻だ。
目的はお尻を揉む事じゃないので、しっかりと同じように洗っていく。
「はい立って」
「んー」
彼女に立って貰ってお尻を揉み揉み。
毛とお肌を洗っているのだ。
立って貰わないとイスとお尻にはさまれたところは洗えない。
「はい座って」
「あーい」
座って貰い、右に回って右の足を洗い始める。
シャンプーの泡が足りなくなるのでまたシャンプーの頭を押して液を手の平に。
洗面器から水を少しとって泡立てる。
出来た泡で毛を洗う。
これの繰り返しだ。
背中、両足、両手が終わったら今度は身体の前面だ。
ヒツジ人は身体の前面の毛は多少短くする文化があるらしい。
彼女もそうだ。
背中に比べてお腹側は毛が短い。
バリカンで刈り揃えているらしいが、その姿を見せてはくれない。
恥ずかしいのだろうか。
ともかく機目が細かく、短くて柔らかい毛を同じように手の平で泡立てた泡で洗っていく。
お腹から下へ、見えないけれどおへその辺り。
その下……は流石に彼女自身が洗う。やっはり恥ずかしいらしい。
そして泡を作り直し、胸の辺りを洗う。
「んっ」
聞かなかったことにしながら何度も反応が合った辺りを狙って揉み揉み。
「むー」
頬を膨らませて睨んできた。
可愛いのでキスして誤魔化すことにする。
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