第2話 初恋が実らないってホントなんだね -2
俺がユリアを見たときの最初の感想は
び、美少女ーー‼︎
だった。
他に何か感想はないのかと言いたいが、語彙力のない俺からはそれしか出てこなかったのだから、仕方ない。
そもそも俺は桃色の髪が似合う人間をアニメや漫画でしか見た事がなかった。
しかし、ユリアは実写では難しい桃色の髪が実に良く似合う顔立ちをしていた。
とにかく全体的に肌が白い。
その白い顔にほんのりと赤く色付いた唇と柔らかな頬。
何より美しいのは情熱的な真紅の大きな
瞳だった。
その容姿は俺が大好きだったアニメ
『魔女っ子マリン』
の主人公に酷似していた。
俺は一瞬でユリアの姿に目を奪われる。
そんな俺の顔を見上げて、ユリアは僅かに微笑む。
「へぇ。いつも趣味の悪いアロイスにしては、随分と顔立ちのいいのを連れてきたじゃないか」
可愛らしい声に男まさりな口調。
嫌いじゃない。
嫌いじゃないぞ!
「そこはまあ、僕なりに思うところが在るのさ」
アロイスが意味深に答える。
「それで、いつもの様にこいつを討伐隊で使えるレベルまで鍛えてやればいいのか?」
ユリアは少し怠そうにアロイスを見た。
「まあ、そう言う事だよ。ユリアの特訓は確かに厳しいが、結果が出るのも早いからね」
「アロイスにそう言われたら、断れないけどさ」
ユリアは少し頬を赤らめる。
「じゃあ、ユリア。よろしく頼むよ!そう言う訳だから、今日から一ヶ月ほど、頑張って!」
そう軽く言いのけて俺の肩を叩くとアロイスはその場から去っていく。
それはまさに風の様な去り際だった。
その後ろ姿を隊員達は敬礼をして見送る。
「さて」
ユリアが俺の方を振り返った。
「君の名前は何と言ったっけ?」
「オリヴァーです」
俺は緊張しながらも、何とか吃らずに質問に答える。
「オリヴァーは何かスポーツなどはやっていたのか」
「いえ、全く。と言うより、俺は自分の名前以外記憶がないんです。」
「そうだったのか。それは悪い事を聞いたかな?」
ユリアはその美しい顎に指を当てて暫く何かを考えていた様だったが、それもつかの間。
すぐにキッと顔を上げる。
「オリヴァー」
「はい!」
「この駐屯地の周りを100周ランニング!今すぐにだ!」
「ええ?今すぐ?!」
「何か文句があるのか?」
「いや、だって。俺はさっきここに着いたばかりで疲れて……」
「この討伐隊に入れば、任務の後にまたすぐに任務が入る事もある。そんなひ弱な事では務まらないぞ」
「そんなぁ」
「この隊で生きて行きたいのなら、これくらいで文句を言うな。」
「……はい」
俺は肩を落として何とか返信をした。
その姿見てユリアはまた僅かに笑う。
「心配するな。俺も付き合ってやるから」
その優しく甘い声に俺は一気に元気を取り戻した。
「はい!頑張ります!」
我ながら実にゲンキンな奴である。
しかし、馬車での長旅の後の駐屯地100週は想像以上にキツかった。
走っている途中少しでも、スピードが緩めばユリアのは怒号が飛んでくる。
ユリアはその可憐な見た目に反して実に厳しい鬼コーチだった。
こんなギャップは現実で体験すると萌えもへったくれもない事よくが分かった。
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