初恋の人と逃避行

小川貴央

第1話 列車に乗って

初恋の人と逃避行


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「早く 早く この列車に乗ろうよ」


「ええ、そうね」



走ってる遅い彼女を後にグングン一人で走り


列車に駆けこんだ、と途端に列車は動き出し


不思議にもドアが開いたまま景色が流れ出す



次の瞬間、急に何故か直ぐに降りなければと


直感し、然し下を見れば加速も早くレールや


枕木が後方へと飛んで行く様に見える



飛び下りるなら今しかないと勇気を振り絞り


思い切って飛び下りた!



膝をクッションの様に曲げ線路上に敷かれた


砂利(バラスト)の中に転がり落ちたが特に


怪我は無かった



彼女が心配になり何度も名前を呼んでいた



「ゆうこさ~ん」「ゆうこさ~~~ん」


すると、


「は~い、ここよ~」



オカシイ事に線路前に倉庫の様な空間が広がり


荷物や乗客などに溢れていた中から彼女が手を


振りながら、駆け寄って来た



「君も列車から飛び下りたの?」


「ううん、乗らなかったのよ」


「そうか、でも君も無事で良かった」


「乗ろうとしたのよ、でもよく解らないの」


「僕もさ、あのまま乗ってたらもう戻って来れない


そんな気がして、取り返しが付かなくなるような」


「アタシも、だから急に乗る事を止めたのよ」



そして僕は何も考えずに彼女を抱きしめてキスをした


彼女は初め少し顔を背けようとしたけど素直に応えて


くれた



二人が、景色が、場面が、時間が・・・飛ぶように


目まぐるしく流れて行った・・・不思議な感覚だった



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初恋の人と逃避行 小川貴央 @nmikky

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