完食指導

「残さず最後までたべなさい!」

わたしの小学校の頃のある先生は、50代くらいの中年の女性教師は給食の完食に関して特に厳しい先生だった。私は幸い給食に関して好き嫌いはなかったので問題なくやり過ごせたが、食べ物の好き嫌いがある子は執拗に食べることを強要され、時には嘔吐を仕掛けながらも無理矢理食べさせられる姿を見て何ともいたたまれない思いをした。


その日も先生はクラスの子に完食を強要した。その子が残したのは豚カツと残すには珍しいものだったが、先生の態度は変わらなかった。「残したら作った人が悲しむでしょ!」「残すまで家には帰さないよ。」といつものように強要した。今で言うともはやハラスメントだ。その先生は子どもの頃食べ物に苦労したことがあったのか、感情に任せた指導で豚カツを残した子を苦しめた。耐え兼ねたその子は泣く泣く豚カツを食べた。あの辛そうな顔は今でも忘れない。


それから小学校を卒業して幾年が経った頃、小学校時代の級友と飲む機会があった。その時の話で分かったことなのだが、豚カツを食べることをあの先生に強要されていた生徒は実はイスラーム教徒だったという。

まったく、無知で愚かな教師もいたものだ。

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