心の一隅に

 今、自分は水色の絵具に飛び込んだ。飛び込んでみたものの息もできない。

 周りも極端な光と、極端な闇と、そして真っ青な世界が広がっていた。よく見れば、元居た処よりも真っ青な気がする。

 ここはどこだ。自分で飛び込んだくせに、心の中で自問自答している。

 元居た処では苦悩ばかりだ。楽になりたかった。楽になりたい。しかし、こんな筈じゃなかった。もっと自由にできると思った。誰もいない世界で、誰も飛び込もうとしない世界に何かあると思った。だけど……だけど……この世界に、僕が求めるものは何もない。ない……ない……ここなら、あると思ったのに。

 僕は一人、群青に身をゆだねる。誰も僕のことを気にしなかった。似ていた、あの青い世界と。

 もがく、もがく。自然に自分の腕が動く。「ぼく」が生きようとして、もがく。だけど、届かない。腕を伸ばしても届かない。どれだけ叫んでも、何も発しない、何も響かない、何も聞こえない。

 太陽が遠くに感じる。元居た処では、太陽がもっと近くに感じた。手を伸ばしても。太陽は近づいてこない。どれだけ手を伸ばしても。あの青い世界なら、捕まえられそうなのに。

 ここには、何もない。ひしひしと感じた。

 僕はそれから群青から藍色に入った。

 もうここからでは、太陽では点描の一つの要素に過ぎない。もう、僕は救われない。

 救われないじゃない。救おうとしていなかったからじゃないか。

 僕は何かばかりを求めているだけではないか。僕は何かを求めてばかりいたのかもしれない。原因は、自分が変わろうとしてないからだ。きっと。

 そう思ったとき、心に暖かみが広がった。そうしたら、自然に涙が溢れた。

 souomottatoki、「boku」nomekaranamidagaahure、mizuirononakanikoboreta。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る