第13話 追跡
足から背中から、炎が噴き出す。
蒼い光の筋がその後ろ姿を照らした。
「行くぞ。」
鉄郎がペダルを奥まで蹴ると、
ロケリオンの足が地面をえぐり
力強く跳ね上がった。
ジャンプで丘を越える。
強い衝撃がコクピットで起こるたび、
「むぎゅ」
テルが鉄郎の体に抱き着く。
その体温が今や彼にとっての
快感となっていた。
「うわぁ」
向こうから飛び出した巨大な影が、
ポラリス達の頭上を通り過ぎてゆく。
ハッチを開けて這い出てくる
ドゥーベとメラクに、
やわらかい土が降り注いできた。
「ポラリス執行員、もうダメそうです。
撤収しましょう。」
ドゥーベがそう言ったのが、
余計にポラリスの心に火をつけた。
1番機は彼らに背を向けて立ち上がった。
「え、歩いて帰るなんて嫌ですよぉ、
回収してくださいよぉ。」
腕を広げて駆け寄ってゆく
ドゥーベに向かって、
「離れてろ」
立ち上がったミドが泥をかけて
走り出した。
ロケリオンの高度が頂点に達する。
森の木々、その先の建物、
そのさらに先、光るモノ。
車だ、立川の車だ。
ぐにゃぐにゃ曲がる道を
とばしている。
「逃がしはしない…」
ゆっくりと高度が落ちてゆく。
追うポラリス。
もはや彼の執着は
報酬や義理から
やって来るものでは無くなっていた。
「執行員!一人で戦っちゃあダメなんじゃ
ないんですか!?」
「うるさいぞ!2回も同じ敵に
やられた何てこと、認められるか!」
マシンが走りながら手に持った銃を放つ。
空中の敵に走りながら撃った弾が
まっすぐ飛ぶはずもなく、
明後日の方向へ。
「くそぉ」
銃を放り投げてミドが駆ける。
取っ組み合いをする気だ。
「パワーで負けてるんじゃ
無いんですか!?」
「うるさい、うるさい、
うるさいぞドゥーベ!」
もう聞く気は無いらしい。
長いジャンプが終わる。
そんな時に、銃弾が飛んでゆくのを見た。
鉄郎が振り返る。
残り1体のミドが追って来ている。
——想定外だ。
遂に追いついたポラリス。
黒いロボットが
ロケリオンを羽交い絞めにした!
「これまでのも払って貰うからな…
金ツバ!」
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