第10話 捕捉
森林をかき分けて、ロケリオンが進んでゆく。
その背の上、ごつごつした武器をのせてその歩みを進めてゆく。
「どうですか、重くないですか。
あの釜石も、少しハズレに出れば、いい眺めじゃあないですか。」
無線の向こうで笑うメトキ、軋むパーツ、息もつかず、すかさず返す。
「ほんとにコッチで合ってるのか?立川がこんなトコロにいるものか?
何かの間違いじゃあなかろうか?」
鉄郎が見つめる先、安っちいコンクリートからこぼれ出る光。
「いえいえ、よく見てくださいよ。あれは、黒いロボットですよ。
”ミド”です。貴方の目の敵です。きっと立川の護衛です。」
いた。——正解だった。黒いロボットがいた。間違いなくミドだった。
「一気に倒しちゃいましょう。仇を討ちましょう。」
「あんまり軽口ばっか言ってっと、ぶっ飛ばすぞ。」
<仇>か。社長は殺されたのか。
いや、ならば、私を東京へ呼んだのは誰か。
必ず生きているはずなのだ。
ロケリオンは丘の上に膝立ちになり、背から大筒を取り出した。
暗がりの中、建物を囲むの3体のミド。
「おい!ドゥーイ!メラク!寝てないだろうな!?」
「ん…そんなに強く言わなくても…」
「そうだぜポラリス。金づるのお守りをするだけなんて、
こんな美味しいシゴトないんだからよぉ、ゆっくり休もうぜ。」
「そうやって気ぃ抜いてる時にエラい目に会うんだ。
俺のカンがそういってるぜ。」
「(なにが俺のカンなんでしょうね。さっきもおいそれと撤退したのに)」
「お前が勝手に撃った上にボコボコにされたからだろ?」
「ややっ、バレた!?」
2番機のメラクが森の隆起した部分に目を向けた。
怪しい光が揺れていた。
「…」
銃のライトをつける。
仰角を上げる。
照らす光が丘を撫でるようにのぼってゆく…。
いた。
銃口が火を放つ。
先手を取ったのは、メラクのミド。
「執行員!捕捉した!金ツバだ!」
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