第7話 霧払い
振り上げられた広い手はピンと力強く伸ばされ、今にも振り下ろされんとしていた。
左手の方向にいた黒いロボットが持っていた長身銃の先をロケリオンの背中に向けた。
「待て、メラク。そのまま撃ったらドゥーベも爆発しちまうぞ」
「このまま見ていては犬死にです!」
ポラリスはマイク感度を最大まで上げて、
「ドゥーベ!エアバッグを起動させろ!」
「な、なんで!?」
「なんででもだよ!いいから早くしろォ!」
「一体目!」
鉄郎がバーを一息に押しこんだ。
「ど、どうやって!?」
「ガあァ!レバーを手前に捻れェ!」
ギロチンが落ちてくる!
「うわぁっ!」
バンッ!という音とともにロケリオンの全身がつま先を重心に起き上がった。
「おおぉっ!?」
かかとに全体重をのせて必死に堪える。
三つ目は巨大な胸板の両方からバルーンを放り出していた。
「バアちゃんのおっぱいかよ」
「バカみたいなこと言ってないでさっさと助けてやれェ」
2番機は銃を尻と腰の間あたりに引っ掛けて、倒れたマシンに寄り添った。
「させるか!」
ロケリオンが大きく前に踏み込むと同時に、
もう1機が肘に手をまわしこみ、肩を使ってロックした。
ポラリスは肘掛けについたモニターから回線を繋げた。
「聞こえるか、ロケリオン《金ツバ》のパイロットォ!」
「何!?電話!?」
「テツローとか言ったか、お前は<社長>とやらのくだらん[夢]とやらにご精進なさっているようだがなァ!」
「くだらなくない!命を懸けるに値するモノだ!」
「その<社長>は、品川は、もう死んでんだよ!」
鉄郎の思考が凍りつく。
「…何を言ってるんだ!?」
「わかんねぇのか!?”消された”んだよ!品川の<夢>も!
<地球鉄道>も!もうこの世にはありゃしないのさァ!」
鉄郎はシートにもたれかかり、その頭のところを、汗でぐっしょり濡らしてしまった。
奥の2体が丘の向こうへと走ってゆく。
「わざわざ待ってくれてありがとうな!これはお返しだ!センパイ!」
頭を殴りつけられたロケリオンは、首をもたげて倒れこんだ。
「社長は…もういない…!?」
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