岩手編

第2話 遍照

<立川派の黒い巨人>

<鉱山付近で謎の発光>


赤い列車が、ロケリオンが、

青函トンネルから元気よく飛び出した。

正面から差し込んだ光が、鉄朗たちを照らし、

新聞は影で塗りつぶされた。


「おーっ!」

腹に顔を埋めていた少女の顔が

満ちる緑の風景を見回した。

この子の名前は[てる]というらしい。

それもそのはず、彼女が知っている唯一の文字であろうものが[照]の一文字だったのだ。


どこからマジックを持ってきたのか、

消化器の箱に大きく[照]の字を書きあげたてるは、

それを目にするたびに箱がひしゃげるぐらいに強くバシバシ叩くのだ。


「えう!えう!…う…」

急に顔から元気がしぼんでいく。

まずい…トイレだ。

「もうすぐ駅に着くからな、な。

もうちょい耐えてくれな。」

いくらてるが小さいからといって、

女の子に野原でさせるのは抵抗があった。


だが…本当にもうすぐなのか?

次の駅をモニタで確認して、

鉄朗は、自分の発言に後悔した。


マスコンを最大まで落とす。

列車は甲高くうなり、津軽の地をかけていった。

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