第3話 寿司屋殺人事件🍣
相川一郎は日清・日露戦争に参戦した。寿司が植民地の満州や韓国で普及した。韓国にはキムパブというものも生まれた。
俺は『人間大好き!』ってNHKのドキュメンタリー番組を観ていた。
相川一郎は俺の母親の祖父だ。
梅山英介は寿司店を営んでいたが、第二次世界大戦後の食料統制と飲食営業緊急措置令により、多くの寿司屋が営業できなくなった。梅山もその一人だった。友人の大島勝男などは店で首をくくってしまった。
大島みたくなりたくはない。
東京都鮨商組合が東京都、GHQに掛け合って委託加工制度というものが出来た。配給された米一合を客が持参、寿司屋が寿司に加工して10貫の寿司を提供するのだ。現代の江戸前寿司のスタイルだ。
寿司屋には独特の符牒がある。
0やま1ぴん2りゃん3げた、きり4だり5めのじ6ろんじ7せいなん8ばんど9きわ10ぴんまる、ぴんころ11ぴんぴん、あさ12ちょんぶり13そっきり14そくだり15あの16そくろん17そくせい18そくばん19そくきわ
寿司は明治末期に海外に進出した。2008年にはミシュランガイドに掲載された。
2019年11月某日、俺は『源太郎ずし』に潜入していた。朝6時、車で魚河岸に向かう。6:30から仕入れをはじめる。『魚西』がなじみの取引先だ。定食屋で納豆定食を食べて、店に戻る。
店に戻ってくると8:40だ。魚の仕込みに入る。鯛を3枚におろし、白身をさらしに巻いて保存する。イカやサバの内臓を取る。吐き気と戦う。
「そんなでやってけるの?」
源さんに叱られた。
11:30にランチ営業がはじまる。ランチ、ちらし寿司を作る。
ヤクザみたいな客に接客態度がなってないと、叱られた。
14:30にランチ営業が終了する。
その日、伊豆には激しい雨が降っていた。キッチンで料理をし、夫と子供達の帰りを待つ母親。家に駆け込んでくる夫と二人の子供を迎える彼女は、家を覗き込んでいるレインコート姿の男の存在には気付かなかった。
ややして鳴った玄関ベルに、スコープを覗き込む夫。次の瞬間、ドアの向こうから撃ち込まれた銃弾が彼の頭部を砕き、続いて撃ち込まれた弾が彼の身体を弾き飛ばす。
これで息子も成仏するはずだ。横田ワサビは返り血のついたレインコートを脱いだ。
数日後、伊豆にやってきた1人の男、岸辺クリス。北海道でオーナーシェフとしてレストランを営む彼は、ただ1人奇跡のように生き残った母親、黒井啓子の父だった。病院で、声を出すこともできない啓子と、文字を指差すことで会話するクリス。ろくに身動きもできなくなった啓子が父に望んだのは、夫と子供達の復讐だった。
クリスは3人の殺し屋を雇い、犯人を捜し始める。クリス自身もまた、かつては凄腕の殺し屋として名を馳せていた身だった。だが、かつて頭部に受け摘出できなかった一発の弾丸が、彼の記憶を徐々に蝕む。復讐の過程で彼は、殺されたのが誰なのかも、自分が誰を殺そうとして誰と手を組んでいるのかすらも忘れ去っていく……。
小島幸代は今年90歳で、熱海の介護施設で暮らしている。最近は認知症が進行し、最愛の息子、士郎(寿司屋)が死んだことさえ忘れてしまうようになっていた。
ある日、幸代は友人の梅山から1通の手紙を託される。2人は太平洋戦争の生還者で、米兵に大切な家族を殺されていた。その手紙には2人の家族を殺した米兵に関する情報が記されていた。その兵士の名は須磨清次郎といい、現在は、園田達也という偽名を使って暮らしているという。
園田は120歳のサイボーグだ。
園田と名乗る人物は4人にまで絞り込まれていた。
体が不自由な梅山に代わり幸代は復讐を決意、1通の手紙とかすかな記憶だけを頼りに須磨を探しに旅に出る。
小島士郎を殺したホシは誰なのか?
俺は頭を悩ませていた。
士郎は首を切り落とされて、名古屋城の天守閣で死んでいた。
『源太郎ずし』は伊豆にある店だ。まだ見習いだったが源さんは士郎を実の息子のように可愛がっていたらしい。
「刑事さんよ?士郎を殺した犯人をつかまえてくれ」
源さんは店を閉めることになった。
『ルビーの指輪』が流れた。源さんがスマホを耳に当てた。
「ユキヨさんどうしたの?分かった、迎えに行くよ」
俺は源さんの冷蔵車で伊豆高原駅まで送ってもらった。冷蔵車の助手席から下りてトボトボ歩いた。背中に鋭い痛みを感じた。これが3回目の痛みだ。
血がダラダラ流れ出た。
「ぶさけんな!パクんじゃねーよ!」
黒いコートの男が発狂しながらナイフを振り回している。
「くたばれっ!」
坊主頭の巨漢が拳銃で通り魔を撃った。
通り魔は肩から血を迸らせた。
「中村さんはサイボーグですか!?」
病院に毛塚が見舞いにやって来た。
「名古屋からワザワザ悪かったね?」
「無事で何よりです」
「チクマの奴、許せねーや」
筑摩だったか、千曲だったか忘れたが俺を刺した奴はコンビニの店員だった。その店では万引きが相次ぎ、店が潰れてしまった。仕事を切られたチクマは『誰でもいいから殺したい病』に罹患した。
「あ〜畜生……痛い」
「痛みを伴う改革だから仕方ない」
「毛塚、そりゃどーゆー意味だ?」
「死ねばよかったんだ、アンタなんか」
SEVEN💉PAIN 鷹山トシキ @1982
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。SEVEN💉PAINの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます