第5話 僕には茉優花だけ
僕が悪夢から目を覚ますと、デジタル時計の暗闇でも光る文字盤は“午前2:15”を示している。
「はあっ……、はあっ……」
僕は悪夢を見て鼓動を早く打つ心臓を感じた。肩が無造作に上下し浅かった呼吸を悔いて、肺の奥からゆっくり息を吐いた。
息苦しさを紛らわし逃していく。
何度か深呼吸をしたあとで、喉の乾きを感じていた。
水を飲もうとベッドから立ち上がり、ふと横を見ると
僕は茉優花の喉にそっと両手を触れた。
「僕だけのものにならないのなら、いっそ」
その言葉は自分が発したのにそら恐ろしくて、背筋がゾクリとした。
僕は
薄ら笑いを浮かべてる僕の顔が鏡に写っていた。
茉優花の携帯電話には、僕とは真反対の男の写真や動画があった。
そいつは眼力が強く、濃い顔で眉は太く男らしい。筋肉質でマッチョな体型のかなり年上の男だ。
僕は中性的な顔立ちでヒョロヒョロとした痩せ型だ。どう見ても茉優花の携帯電話の男より男らしさや強さに欠けている。
「二股……か」
だが、僕が思った以上に事態は悪い方向を向いていた。
僕には目を背くことのできない、茉優花との問題が明らかになる。
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