「作品」は良いです。「登場人物」は病人ばかりではありますが。
バッドEND系のホラーってありますよね。あれって登場人物が愚かなムーブ(例えば明らかにやばい場所に一人で行くなど)して愚かに死んでいくわけですけど、一定数のファンがいますよね。
登場人物がみんな不幸にしかなってないのになぜ面白いと感じるのか。
なぜかっていったら自分には関係ないことだからです。
自分はあくまで安全な立ち位置で関われるからです。
ジャンルは違いますけどこの作品にも同じことがいえます。
外し続ける選択肢、愚かな登場人物、心の病人同士の沼のような恋愛。
こんなもの、リアルだったら一切かかわりたくない、不幸になる要素満載です。
でも面白いのはなぜか。
自分には関係ないからです。
自分ならこんな最初から糞ムーブかましてくる女選ばないし、自分ならこんな地雷臭漂う男は選ばない。
というか主人公に対して、切ないとかけなげとか献身的とか、そういう言葉が投げかけられていますけどとんでもないです。
たまたま関心が恋愛に向いているからいいですが、一歩間違えれば目的の為なら手段をえらばない、たとえ周囲をどれだけ不幸にしても…みたいな男ですよ。
ぶっ壊れているヒロインが受け皿になってるからマトモを装えるだけで…。
2人そろって幸せになる末路より、2人そろって自殺する心中ENDが容易に想像できます
一緒に居られれば他のどんなモノを失ってもいいみたいな薬中思考、勘弁願いたい…でも創作物だから面白い!
まあ、まともな男女がまともな恋愛をしてまともにハッピーエンドを迎える作品はうわっつらは幸せそうでいいですが、エンタメとしては一つも面白くないですからね。波風がないと。
そういう意味で、不穏さしか感じないこの作品はエンタメとしてとても楽しいです。
読む価値は十二分にあります。