ぼくの母ちゃん

@shira_13house

第1話 おはようございます


ピピピピッピピピピッ!


目覚まし時計が鳴った僕はすぐに目覚まし時計を止めリビングへ行く。そして朝ごはんを食べる。そんなごく平凡な朝を夢見ていたのだが我が家では叶わぬ夢であった。

なぜなら、

うちの母は少し変わっているいや、とても変わっているからだ。


一つ例を出して説明してみよう。


テストなのでいつもより早く学校から帰ってきたぼくはソファにだらけていた。

父は朝早くから仕事に行きお昼頃には帰ってくるので家には僕と父の2人しかいなかった。

スマホでゲームをしていたら電話が鳴る。

父が出てくれるだろうと思ったが外で車を洗っていたのでゲームを中断して出るしかなかった。オンラインゲームなのでやめたくなかったのに。

「はいもしもし」

電話に出るとどこか聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「もしもし?〇〇のおばちゃんだけど」

自分と同じ苗字を語る女性の声がした。

僕は親戚のおばちゃんだと思い外にいる父を呼び電話を代わった。まだゲームには負けていなかった。

「はいもしもし」

電話を変わった父は喜怒哀楽すべての感情が抜き取られたような無表情で電話を聞いていた。もちろんそんな顔を僕は生まれてこの方見たこともなかった。

「政子か?」

それは母の名前だった。親戚に母と同じ名前の人はいないのに父は何を言っているんだろうかそう思いゲームをしながら耳は父の電話に傾けた。

「どうしてうちに電話してきたんだ?」

急にいつもの父の話し方に変わった。

その時ぼくは気がついた。電話の相手は親戚のおばちゃんではなかったのだ。

母だったのだ。

電話に出た時聞き覚えがあったこと、同じ苗字を語ったこと、母と同じ名前であること全ての点が線で結ばれるとはこのことだと知った時でした。

電話を終えた父に何があったのかと聞くと母は自宅に間違い電話をしたのだと言う。

近所に住む母と同じパートをしている家に電話をかけようとしたところ自宅の電話番号を押してしまったのだと。


母の声に気が付かない僕も少し悪い部分があ行くことったのかもしれないがそもそも自宅に間違い電話をするそれが私の母親なのです。

そんな母親が居ることで僕の朝はごく平凡とは程遠い朝を過ごす。

まず朝起きてリビングまで行くことは他の人と変わらないと思うが最初に見る景色が他とは違う。


フルーツのパックや泥のパックというものが流行っていると知ったうちの母はお風呂上がりと朝にパックをするようになった。

フルーツのパックはバナナ多めにしたスムーズを顔に塗るそれが顔パック。泥のパックに関してはみなさんもわかっておられると思いますがただの泥を顔に塗るのです。ただの泥を塗ったところで汚れるだけだと注意するだけ無駄だということを知っている家族は誰ひとり注意することはありません。


家事に関しては平均以上にできる母親なのでご飯は美味しく洗濯物や掃除に関しても特に言うことはないのだが先程も言った通り流行りのものが好きなので美容院でおすすめされた黒にんにくというものを朝晩ましてやお弁当にまで入れるのだ。黒にんにくに栄養があることはわかっているけれど僕を含む三兄弟全員が苦手な味だったのでいらないと言ってもそんなことが通用する相手ではない。

黒にんにくに耐え朝ごはんを食べると歯磨きをするため洗面所へ行く。ここでは母親に会うことはない。


リビングへ戻ると母は自分の朝ごはんを食べている。食べている物は特になにも変わっていないのだが場所が問題だ。部屋の隅のスピーカーにコーヒーとパンを乗せて食べている。リビングの真ん中に机があるというのになぜわざわざ部屋の隅でしかもスピーカーの上で緊張感のある食事をするのかやはり謎が多い人だ。


着替えを済ませいざ学校へ行くため自転車に乗ると毎日母はお見送りをしてくれる少し恥ずかしいがとてもいい母親だ。

「行ってきます」

反抗期ではあるものの一応言っておく。

すると母も行ってらっしゃいと言ってくれる。


向かい合わせに八軒ずつ並んだ住宅街に住んでいたので真っ直ぐ自転車で走っているとすぐにもう一度母の行ってらっしゃいの声が聞こえる。そして住宅街を抜ける時にもう一度行ってらっしゃいの声が聞こえる三度も行ってらっしゃいという母親は日本にも数少ないのではないかそんな気がしながら登校するそれが僕の日常的な朝だ。

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