第10章 決戦

でも最近なんだか、


楽しかった。


(キン!)

僕の剣は羽を弾いた。


「ニーノがまってる!」

再び剣を構える

負傷しながらも。


「おろかな」

ベルゼバブは更に追撃をする。


僕はその厳しい追撃を、かすり傷を負いながら、辛くも交わしていく。


しかしやがてがれきの壁際に追いつめられる。


べルゼバブは一気にとどめを刺そうと羽の攻撃を集中させる。


僕は厳しい状況ながら諦めない。

 集中して羽を弾いていく、


しかし

その数は雨のようで、やがて防ぎきれず、

僕は(やられる!)

と思い目を瞑る。


その時


(バシュン!)

という音とともに、羽が目の前で止まる。


「え?」

僕は何が起こったのか理解できずに、目を開けて前を見てみると


そこには盾。

これは以前、ニーノと一緒に手に入れた物だ。

そうか、これがあったんだ。


「いける!」

自分でさえ忘れていた盾の事。

傷は負ったけど、この盾があれば。

なんとか羽は防げる。


(あとは近づけば)

僕は盾で羽を防ぎつつ、徐々に距離をつめていく。

それでも羽の威力は凄まじい。


直進は盾を壊しかねないから、迂回しては、避けて、

大周りをしながら、


僕は手に持った剣の射程は知っている。

ゲームで何千回と使った剣、手足のように使い慣れてる。


べルゼバブから50メートルほどの距離で、羽を防ぐ。

「盾がもう限界だ!」

羽の雨の中、そう言うと

僕は装備を剣に持ち替える・・


ふりをする。

べルゼバブはここぞとばかり、

大量の羽攻撃が一斉に襲う。


「今だ!」

と僕は剣を使う。

ゲーム上で、一度きりの

「使う」

を選択する。


すると剣は伸びる、それも一瞬で。

その方向はもちろんべルゼバブ。

剣は光の速度で伸びる。

これが、剣を使った時の隠し能力。


音もなく剣がべルゼバブの胸を貫く。

「!?」

声にならない悲鳴を上げるべルゼバブ、

動きが止まる。


そして、剣が貫いたその白くなった部分から、光が広がり

やがてまぶしさを増す。


そして、闇は晴れる。


僕は勝ったんだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

事なかれ主義なのに、勇者に選ばれてしまった。 沢山そらい @reserve_walk

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ