第6章 遺言
さっきの言葉はどういう意味だろう?
と僕は考える。
僕は城の奥をニーノと捜査しながら思う。
「人語を話せたんだ」
僕は独り言のように呟く。まさか喋れるなんて、と僕が思ったのは、
先入観だったかな。
だってニーノが話してるんだ、不思議じゃないよね。
出会ったすべての
オロバスが話せなかったから、驚いていた。
「りょう様?大丈夫ですか?」
ニーノが気遣って言う
「ああ大丈夫だよ」
と答える。
あの最後の言葉
(ウラニアに滅びをもたらすもの)
どういう意味だろう?あれは明らかに僕達に言っていた。
滅びって?
それってオロバスたちの事じゃないの?
僕は色々考えていたけど、目の前にあるスーパーレアアイテムに、
その悩みも
何処かに吹っ飛んだ。
「これは!」
メドンが落として行ったもの。
鍵が落ちている。
僕はそれを拾う。
そのまま更に奥へと進んでいくと、
「りょう様!ここに宝物庫が!」
(えっ!!)
ニーノの声に僕は嬉しくて思わず走り出す。
そこには大きな扉がある。
僕はさっきの拾った鍵を穴に差し込む。
(ガチャ)
と開いた音がする。
僕は慌てて開こうとする。
そのとき
「待ってください!」
(え?)
まさかのニーノの声。
「え?なんで?」
正直、ここで止める意味が解らなかった。
ニーノは
「すみません。なにか、感じるんです」
とニーノはらしくなく表情を曇らせながら、
僕の腕を掴んでいる。
「何か、何か・・」
ニーノはどこを見てるのか、そして何が言いたいのか解らなかった。
でも、ここまで来たら僕はもう止まられない。
扉を開ける。
そこは思った通り、アイテムがあった。
それは輝いている盾。
「おお!」
僕は色めき立つ。
チラとニーノを見ると、相変わらず元気がない。
でも悪いけど、正直どうでも良かった。
悪者は倒したし、目の前には戦利品。
そこにある2つの台座に置いてあるのは、盾と本。
「ウラニアの盾!」
それまで元気がなかったニーノが急に大声を出す。
そしてその盾に飛んで行って触り、
「間違いありません!これがオベロン様の探していた盾です!」
と喜んでいる。
なんなんだろうこの娘は?
気分の上下に付いていけなかった。
更にその横には分厚い本。
「それは?」
と僕は言う。
「そうですね、こっちは」
ニーノは本の方へ飛んで行って確認をする。
その間に僕は、こっそりと歩み
盾を手に取った。
「これは古代の書物のようですね!」
ニーノは本に興味津々だ。
その時、僕は盾を手に持ったまま
「とりあえず、オベロン城に戻ろうよニーノ」
と、僕は言った。
「そうですね!」
とニーノは答え、僕とニーノは今や誰も居ない城を後にする。
僕はこの時、この盾の価値を知っていた。
(ウラニアの盾)
これはゲームの中でも選ばれしユーザーにしか与えられない防具でもあり称号でもある。
1人、にしか与えられない、リアルで伝説のアイテムだ。
僕はこれをニーノに見えない死角に持ったまま帰路についた。
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