第4章 過去

僕は城の宿で考える。


「どうしてこうなったんだろう?」

と、これもハッキリ物事が言えない自分の性格のせいだと

今まで何度思っただろう。


 今頃、僕の買ったばかりのゲームをやっているはずなのに。


あと気になるアニメも山ほどあるし、観なきゃいけないのに。


と僕は悶々としながらベットに横になっている。


「今日は疲れた」

この疲労感、ボーっとしてだるい。


 アニメやゲームの事が気になりながら僕はそのまま寝ようとしていた。


そのとき、


(トントン)

とドアのノックの音。


「すみません、勇者様」

とニーノの声。


 僕はゆっくりと起き上がり

「どうぞ」

 不思議に思いながら言う。


とニーノが

「夜分失礼します」

と言い頭を下げ、

歩きながら入ってくる。


地面を歩くニーノを見るのは、そういえば初めてだった。


 なんだか表情は今までの明るいニーノらしからぬ、

見たこともないような感じを受ける。


「先ほどはすみませんでした、私が勝手に話をしてしまって」

と申し訳なさそうにニーノは言う。


(ほんとだよ!)

と心の中では言ったけど、ニーノの真剣な態度を見るととても言えなかった。


 ニーノは

「実はオベロン様は、私の育ての親なのです。」

と言う。


「え?」

僕は不意の言葉に驚いていた。


 更にニーノは

「子供のころ、道端に捨てられていた私を拾ってくださり、

ここまで10年間、育てて頂きました」

と続ける。


僕は聞いている。


今までのニーノとはまるで別人のように見える。


「だから、その恩返しがしたくて、ついあのような言い方になってしまいました。

本当にすみませんでした」

ニーノは深々と頭を下げる。


「い、いや、そこまでしなくても、大丈夫だから」

と僕は罪悪感を感じる。


それでもすぐには頭は上げないニーノ。

(よっぽど本気なんだな)

と僕は感じた。


ニーノはやがて顔を上げ


「勇者様。さぞお怒りと思います。」

と申し訳申し訳なさそうに言う。


「ですが、なんとか、この国を、オベロン様の国を、

守ってほしいのです!」

と言う。


僕は

(ああ、ここまで来たらもう断れないな)


と、複雑な気持ちだったけど、


「うん、わかったよ」

と答える。


「本当ですか!?」

と一瞬で表情が明るくなり、いつものニーノに戻る。


(ああ、やっぱり言わなきゃ良かったかな)

と後悔するも


「それでは、さっそく明日出撃しましょう!(メドン城)に!」

メドン城、と言うんだそこは。


いつもなら、いきなりすぎる提案に、戸惑う僕だったけど、

もういろんなことが重なって、疲れていた僕は、


「任せろ」

ともう半分やけになりながら言った。


そして


いつの間にか寝ていた。

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