第3章 ウラニア・ユミール
ここはウラニア。
僕はニーノの話に流されるまま、ここに来た。
まるでミニチュアのゲームマップ。
「ここが私の住んでいる町です!」
真ん中に噴水があるこの街は、川や堀に囲まれ、
自然豊かできれいに見える。
天気が良く、気温も丁度良い。
(ここにはどうやって来たんだろう?僕は光に包まれて・・)
思い出そうとするけど、記憶がぼやけている。
なんとなく街を眺めていると、
ニーノのように羽が生えた妖精たちが飛んでいる。
やがてその先に見えるのは
「あれは?」
と、僕が呟くと、ニーノは
「あれが我が国の王、オベロン様のお城です!!」
と言う。
そこには3メートル程の小さなお城?がある。
ニーノにすれば大きいんだろうな、
と僕は思いながらそこに向かって案内される。
「私の仲間の街の妖精たちです!」
その道中、街に飛んでいる沢山の妖精たちを
ニーノが紹介してくれる。
僕がやっているゲーム。
(ウラニア・ユミール)
でも、こんな街は見たことがなかった。
僕がキョロキョロしていると、
「りょう様!早速お城へ入りましょう!」
と腕を掴んで僕を城の奥へと連れていく。
「ち・・ちょっと」
と僕は間もなく、奥の白く洋風のお城に入った。
中に入ると、
ここは西洋のお城をそのまま一回り小さくしたお城。
中もそのまま、妖精達のサイズに縮めた感じ。
「よくできてるなあ・・」
と歩きながら僕は感心する。
そのままニーノに引っ張られるように僕は、
扉をいくつかくぐり階段を上がって
ひと際目立った金の扉の前に立たされる。
「え?」
僕は何が何だかわからないままで、ニーノに身を任せている。
するとニーノが
「オベロンさま!!勇者様を連れてまいりました!!」
と大声で言う。
すると数秒後に、ゆっくり扉が開く。
そこは床に赤絨毯が敷いてあり、金の壁と天井でキラキラしている。
そしてその先には、王座があり
そこに金の装飾品を身に纏った、赤いローブを身に纏う
150㎝程の妖精が1人座っている。
背にはトンボのような羽。
しかしニーノとは違い羽は数十枚ある、
そして一枚一枚が大きい。
僕がその姿に圧倒されていると
「お久しぶりです!オベロンさま!」
とニーノがその王座の前にひれ伏して言う。
するとオベロンが
「ご苦労だったな、ニーノ」
と言う。
ニーノは嬉しそうに
「はい!」
と、答える。
その様子を見ていると、ニーノがオベロン王を凄く尊敬しているのが
見て取れる。
そんな風に考えていると、オベロンが僕を見る。
そして
「君が勇者か?」
と話しかけられる。その眼光は鋭くその迫力に僕は少し怯みながら
「え、えっと」
と僕は答えあぐねていると、
「そうです!オベロン様!!」
とニーノが代わりに答えてしまう。
オベロンはそれに頷く。
(まだ答えてないのに)
心の中で言うも、手遅れで、
オベロンは僕とニーノに向かって
「(奴ら)は相変わらずだ、我々妖精たちを襲っては、子供たちを誘拐している」
と言う。
「はい」
ニーノは小さく答える。
奴らって誰だろう?オロバスかな。と僕が考えていると
「そこで」
オベロンは僕を見る、そして
「君に、(奴ら)を倒してほしい」
(え?)
何で僕がそんなこと、正直面倒くさい。
そう思い、さっきニーノに直ぐ発言を遮られたこともあって、直ぐに
反論しようと・・
「いや・・」
「勿論です!!!」
とニーノが僕の言葉を遮って言う。
(?!)
僕が慌てて
「い、いや」
と一旦言葉を挟もうとするも
オベロンが
「うむ!そうか!」
と納得してしまう。
(!?)
と心の中で突っ込むも、もう手遅れで
「私を助けてくれた時も、それは素晴らしい腕前で!」
とニーノは追い打ちをかけるように言う。
(持ち上げないで!ニーノ)
僕は勝手にどんどん期待されていく。
そして
「期待しているぞ、勇者」
とオベロンに言われ、
僕は自分の意見を何一つ言えずに、
謁見は終わった。
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