第2章 依頼

 「ただいま」

と、僕はいつもの癖で挨拶し、元気なくぼーっと階段を上がり自室に入る。

家族の返事があったかどうかも覚えていない。


「あーあ」

僕はベットに寝転がる。


(見逃してしまった)

まず頭に浮かんだのはアニメの事。


怪物と戦ったのに、

僕はアニメの事を気にしている。


(あの後、世界はどうなるのかな?新たな国ってどこなのかな?)

色々、アニメを知ってる人しか解らないことを考えながら天井を見つめていると。


 そこに、小さな光がふわふわ飛んでくる。

そして

(ピカッ)

と輝く。

僕は思わず目を瞑る。


 そして

ニーノが現れる。


「こんばんは!」

と元気に挨拶するニーノ。


僕は慌てて起き上がり

「あ、こ、こんばんは」

とペコリと頭を下げて言う。


「さっきはありがとうございました!」

とニーノは頭を下げる。


「あ、い、いえ」

と僕は再びペコリと頭を下げて返す。


「そういえばまだ名前を聞いていなかったなあって!」

とニーノは言う。彼女は笑顔でなんだか嬉しそうに見える。


「え、あ、僕は伊藤亮一です」

僕は慌てながら自己紹介する。


すると、ニーノは


「りょう様!って言うんですね!私はニーノです!!」

と元気よく挨拶をする。


(りょう様・・)

僕は複雑な気持ちだったけど、


「こ、こちらこそよろしく」

と言う。


「さっきの剣捌き見事でしたね!」

とニーノは僕を褒める。


「剣捌き?」

僕は何のことかと思い出す。

そういえば、あの化け物みたいな馬を倒したんだ。

アニメを見逃したショックで忘れていた。


「オロバスを倒してくれてありがとうございます!」

とニーノは言って頭を下げる。


(オロバス)っていうんだあの化け物。

ゲーム好きな僕はなんとなく聞いたことがあった。


「いや僕は何も」

と謙遜する、実際なにもしていない。

 いや、実は結構すごい事なのかな?

今になってそう思ってきた。

ゲームのやりすぎで、感覚が変になってたのかもしれない。


「りょう様!お願いがあります!」

大声でニーノが言う。

(りょうさま・・)

僕は、様付けされるのがすごい恥ずかしかった。


「その力を、是非、我が国のためにお貸しください!」

とニーノは言う。


「え・我が国?」

僕は聞く。


「はい!私たちの国です!」


なんだかよく解らないけど、僕は面倒は嫌いで事なかれ主義。


すぐに「はい」

とは言えずにいると。


「さっきの剣、選ばれた勇者様の剣です!」

とニーノは言う。


「え??」

と僕が素直な疑問を聞くと


「伝説によれば、青の剣!あれを装備できるのは勇者様だけです!」

と言う。


その時僕の頭に思い浮かんだのは、

今日見るはずだったネットのアニメの話。

確かそこに剣が出てくるはずだった。

次回の予告では、確か青い剣が。


僕は調べようとスマホを手に取る。


「え?!」

その手に持たれてるのはスマホではなくて青い炎の剣だった。


「!?」

僕が驚いて戸惑っていると、


「そう!その剣です!それこそ、りょう様が選ばれた証!!」

ニーノは嬉しそうに声高に言う。


僕は剣を見ながら固まっていると。


「その剣は。私たちの世界を救う剣なんです!」

とニーノは言う。


僕は展開に付いていけない。


しかしニーノが更に言葉を続ける。


「来てください!私の国に!!」

と言う。


「ど、どうして?!」

と慌てて返す僕。


「これから来てください!」

とニーノはとんでもない事を言う。


「え!?」

僕はニーノの言葉に、どんどん引っ張られていく。


 話の展開のスピードに全く付いて行けずにいると。

ニーノは何かの紙を懐から取り出して。


「これが私の世界です!!!」

と僕の机にマップを広げる。


それを見ると、


「!?」

と僕は思わず二度見する。


そのマップは僕が良く見るマップ。


 それもそのはず、僕の大好きなアニメ、

あの見逃したインターネットアニメ番組。


 シリーズ化されてるしでゲームも販売されているし、

僕はこのシリーズが大好きだ。

ゲームや、アニメを何週したことだろう。


特に、スマホゲームは大人気で

今僕がハマっているゲームの一つだ。


このマップは正に、そのスマホゲームの中のマップ。


「ウラニアだ!!」

僕は大声で言っていた。


 その言葉にニーノは

「え!ご存じだったんですか?!」

と大声で驚いて嬉しそうに返す。


「うん。これは」

僕はマップをじっくり見る、そして


「ウラニア・ユミール」

僕はスマホゲームのタイトルを言う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る