事なかれ主義なのに、勇者に選ばれてしまった。

沢山そらい

第1章 出会い


そろそろ冬の入り感じる寒さの、学校帰り。


今日は毎週楽しみにしてる、インターネットのアニメ番組がある日だ。


僕は寄り道もせずに真っ直ぐ帰ろうと学校を走って出る。


 そんな何の変哲もない帰り道、前触れもなく


辺りがが突然薄暗くなる。


 「あれ?」


僕が立ち止まり、不思議がっていると、


 地面から黒い馬?

のような体長3メートル程の怪物が現れる。


目が赤く鋭く光っていて、息が荒く、こっちを見ている。


「な・なに??」


 僕はとっさの事にどうしていいかわからず、その馬を見ながら恐怖で

棒立ちしている。


 するとその馬が、急に僕に飛び掛かってくる。


「うわっ!」

僕は転びながら避ける。


何とか偶然よけられたけど、また攻撃してくる。


その時、僕の右手に何かが触れる感触がある。


反射的に思わずそれを馬の前にかざす。

すると


(ザクッ)

と音がして、


(ドサッ!)

と馬は倒れる。


「え?どうして?」


と僕は不思議に思い、手に持ったものを見る。


そこには青い炎に包まれた剣。


「なにこれ!?」


と僕は驚きながら剣を見る。

長さは1メートル程で、青い炎は、ゆらゆらと揺らめいている。


 そのまま僕は剣を見つめながら、固まっていると、

薄暗かった辺りは明るくなり、元に戻る。


そして馬の姿もいつの間にか消えていた。


そこの地面には、何か光るものが落ちている。


「これってネットマネーのカードだ」

ネットで、買い物が出来る券。


 どうなってるのか良く解らなかったけど、そのままなのも何だし

僕はとりあえずポケットに入れる。


すると、どこからか


「すごいです!」

と甲高い女の子の声がする。


僕は「!!」

と驚いて飛び上がる。


そして

(え、どこ!?)

と声が聞こえる方を向き、キョロキョロする。

 

すると

目の前が、光始める。


そして

(パッ!)

と輝く。僕は思わず目を瞑る。


ゆっくりと目を開けると。


そこに50㎝程の謎の少女が現れる。

宙に浮いていて、

見ると、背中にはトンボのような羽が生えている

 外見は金髪の髪でロング、薄緑のフリルが付いたスカートと

水色のビスチェを着ている。

まさに(妖精)と言うにはピッタリの外見。


「え?」

僕は何が起こったのかわからず、呆然としている。

すると

「素晴らしいです!」

と声高にその少女が言う。

 

 そして

「初めまして!私はニーノです!」

と言われ、更に


「よろしくお願いします!勇者さま!」

と、元気よく宙に浮きながら、ペコリと頭を下げて挨拶してくる。


 僕は

「あ、こんにちは」

と反射的にペコリと頭を下げる。

 これも誰とでも当たり障りなく接する僕の癖、つい誰にでもすぐ頭を下げてしまう。


 ニーノは

「さっきは凄かったですね!!」

と言う。


と、いうことは、僕の行動を見ていたんだ。


「いや、別にさっきはこの剣が勝手に・・」

と僕は右手を見る。


「あれ!?」

そこには剣はなく。


手に持っているのは、僕のスマホだった。


 それをニーノは見ると

「それが剣に変化するんですね!」

と感心している。


「いや、これは・・」

僕は訳が分からなかった。


「なんで?」

僕は余りに色んなことが起こりすぎてパニックになっていた。


そんな時ふと、スマホの画面の時間を見ると時刻は17時、


(ああ、もうアニメは終わってしまった)


(楽しみにしてたのに・・)

僕は残念な気持ちでいっぱいだった。


 その後はアニメを見逃したのが余りにショックで、

よく覚えていない。

ニーノと何を話したのか?

どこをどう帰ったのか?


相当ガッカリしながら、自宅へ帰る。

 

 その帰り道、何か小さな蛍?

みたいな光がふわふわと頭上を漂っていたけど、

気にしていなかった。

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