6年ぶりの再開
私の娘、恵憂。
新しい息子、憂希くん。
母親の目から見ても恵憂はかわいい女の子だ。はっきり言って美少女の部類に入るだろう。
艷やかなロングヘア。大きくパッチリをした瞳。小さい顔。この娘がどんな成長を遂げるのか母親としても楽しみだ。
そして憂希くん。憂希くんもはっきり言ってどんなかっこいい男の子に成長するのか楽しみだ。すでに同年代の男の子より背は高く、やはり整った顔立ち。なにより優しい。
2人ともモテるタイプなのにお互いのことが好きという。
さあ顔を合わせて、力を合わせて新生活を! とならないといけないのだが。この光景を見て私には言える言葉がなかった。
9歳の恵憂が新しいお兄ちゃんである憂希くんに告白したのだから。
私も母親だ。娘の考えることなんて大抵分かる。恵憂が憂希くんをどう想っているか、なんてことは。憂希くん引き取る。一緒に生活する。
引き取ると言ったとき。恵憂は泣いて喜んだ。
一緒に生活すると言ったとき。顔を真っ赤にして恥ずかしそうに、でも泣いて喜んでいた。
恵憂はまだ幼いからわかっていないのだろう。
それは数多の人がいて、それでも数少ない人間だけが得られる。最上級の恋なのだ。
もうその人以外ありえない。その人と結ばれるためだけに産まれた。そんな恋なのだ。
でも憂希くんにはまだ見えていなかった。恵憂がどんな目でお兄ちゃんである憂希くんを見ていたか。
だからうまく反応できなかった。突然の恵憂の告白に。
拒絶された、と恵憂は想ったのだろう。事実、冷戦の6年間がある。嫌われていても仕方ない、私が悪い。そう考えることもできるだろう。大人なら。
でも恵憂にはそうは思えなかったようだ。
ただひたすら思ったことは。私はお兄ちゃんに嫌われてる。これだけだなのだろう。でも恵憂にとってそれは、命よりも重いことだ。
ボロボロと泣く恵憂。
うろたえる憂希くん。
これはこのままじゃいけないと思い、割って入ろうかと1歩進めようとした瞬間。
動いたのは憂希くんだった。
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