《どうやら二回戦の開始らしい》

一回戦が全て終了すると二回戦が始まる前に1時間の昼食休憩が入ることになっていた。


俺はルナと一緒にミーナの控え室に一度向かう事にした。


「ミーナ、お疲れ!凄かったな?まさか、ミーナがここまで成長しているとは思わなかったよ」


控え室に入りミーナに声をかけるとミーナがルナに抱きついた。


「2人ともありがとう。それより、ルナの怪我は大丈夫?ルナの仇は私が討つよ!」


そう言ってルナを心配するミーナ。


「ありがとう。怪我は大丈夫だからミーナはまず二回戦を頑張ってね?まあ、ミーナの事だから次の相手も勝てるだろうけど」


ルナは心配するミーナを引き離すとそんな事を言う。


「そうなのか?ミーナの前の試合はあまり見れなかったからな。相手の実力が分からないから勝てるのか心配してたんだが?」


まあ、さっきの試合でミーナの実力が高いのは分かったけど試合は何があるか分からないからな。


「まあ、ミーナは理事長の弟子みたいな物だからね。簡単にはいかないだろうけど優勝候補なのは間違いないわよ」


俺の心配にルナが答えてくれる。賢者って呼ばれるリディアの弟子?それって凄いことなんじゃ?!


「弟子なんて大袈裟だよ!確かに理事長から色々教わっているけど」


ルナの発言にミーナが照れ臭そうにしている。すると控え室にリディアが入ってきた。


「なんだ2人とも来てたのか?ルナは残念だったな。まあ、来年こそ頑張るんだぞ!」


控え室に入ってきたリディアは俺とルナに気付くと声をかけてくる。


「はい。来年こそ理事長の期待に答えられる様に頑張ります」


ルナはそう言って笑顔を浮かべる。ルナが負けたのを引き摺ってなくてよかった。


「それでリディアは何しに来たんだ?ミーナの激励か?」


あまり1人の生徒を贔屓するのは良くないと思うんだが。


「うん?ああ、ミグル達がミーナを探してたんでな。教えに来たんだ?まあ、激励ってのも間違ってないがな。ミーナ、二回戦も頑張るんだぞ!」


そう言ってミーナの肩を叩くリディア。それからミグル達と昼食の約束をしていたミーナと別れて俺は一旦馬小屋へと戻った。ちなみにルナとリディアは2人で昼を食べに行った。





それから1時間後、会場に昼食に出ていた人達が戻ってきて、いよいよ二回戦が始まろうとしていた。


ちなみに午後は1試合目から見る為、既に俺も観客席に来ている。


「二回戦に残った選手で強そうな奴っているのか?」


俺は隣に座っているルナに勝ち残った選手の事を聞いてみる。


「うーん。ゾランとミーナの他には、1試合目に出てくるレーン帝国学園のキースと4試合目に出てくるエビル学園のセレナって人達が強いはずよ!前大会で準決勝まで残っていた人達だから」


2人か。外で見たな。確かに一回戦は余裕で勝ち上がってた。相手が弱かっただけかと思ったが。なにせ相手は大して強くなさそうな奴等だったからな。


「それに、一回戦は手加減していた選手は他にもいると思うわよ。最初から手の内を晒す真似するわけないもの」


なるほど。確かに余裕があれば実力は隠している奴はいるのか?ゾランみたいに。


そんな事ルナと話している内に1試合目が始まろうとしていた。先程名前が出たキースって奴とエビル学園の奴の試合みたいだ。


「それでは二回戦の第1試合。キース選手対カイン選手の試合を始めます。互いに礼!」


距離を取って審判の合図を待つ2人。キースの方は一回戦では持っていなかった杖を持っている。


「始め!」


審判の合図と同時に呪文を唱え始める2人。今までの選手は短く呪文を唱えてただけだったが、2人は集中して呪文を唱えている様だ。


いち早く呪文を唱え終わったエビル学園の選手がキースに向けて巨大な火の玉を放つ。キースは火の玉を一瞥すると魔法を放つ。


「アイスワールド」


キースが高らかに叫ぶと同時に闘技場に氷の山が現れた。氷の中にはエビル学園の選手がいる。彼が放った火の玉はかきけされておりエビル学園の選手は凍ってしまっている。


「そ、そこまで!キース選手の勝ち」


審判が震えながら試合の終了を告げる。キースは氷の山を溶かすとエビル学園の選手を助けてやり担架に乗せた後、闘技場を後にした。


「す、凄いな彼。相手選手の魔法も結構威力があったと思うんだけど。」


俺が震えながらキースが放った氷の山を見ながら呟くとルナも震えながら答えてくれる。


「う、うん。前の大会ではあんな魔法は使ってなかったから1年間頑張ったんだろうね。っていうか凄い寒いんだけど」


キースが放った魔法で会場全体が冷気に包まれている。直接、凍りつけにされた相手選手が気の毒だ。


やがて、教師達の魔法により氷は溶かされ会場に暖かさが戻った。


その後も試合は進み、2試合目はミーナ達のシルフ学園の選手、3試合目はセント学園の選手が勝ち上がった。


それぞれ、苦戦したが何とか勝てたって感じだった。1試合目のキースが凄かった分、盛り上がりは微妙な所となってしまった様だ。


そして、次は4試合目。セレナって奴の試合だな。キースが凄かったからセレナって奴にも期待しよう。


闘技場に2人の少女が入ってくる。セレナって奴ともう一人はシルフ学園の選手だ。シルフ学園の選手は観客席に向かって手を振っている。


「あの女子生徒、何処かで見た気がするな?」


俺がそう呟くとルナが不機嫌そうに教えてくれる。


「あの女はいつもミーナをイジメている女よ。アンディーも最初に学園に来たときに見たでしょ?」


そう言われて俺はミーナに再開した時の事を思い出した。確かにミーナを突飛ばした女だ。


「あの女、貴族だからってプライドだけは高いのよ。ミーナが自分より実力があるのが気に入らないからっていつも絡んでたわ。私達より2歳上だからミーナはいつも我慢してたわ」


なるほどな。確かにミーナの性格じゃ黙って我慢するだろうな。


「これはセレナの方を応援するしかないな。出来ればボコボコにして欲しいな!」


俺が笑顔でそう言うとルナも同感だと頷いている。


「それでは第4試合。セレナ選手対ユリア選手の試合を始めます!互いに礼」


そして試合が始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る