《どうやら気付かれたらしい》
カリーナの屋敷に戻るとミグル達が中に入ってすぐにシンディーが全てを話せと詰め寄ってきた。
「さあ、話を聞かせてもらうわ!隠してた事を話しなさい!」
そう言って詰め寄ってきたシンディーに仕方なく俺は自分の話をした。元は違う世界の人間だったこと。死んだ際に女神に新しい世界に生まれ変わらせて貰ったこと。そして馬としてシンディーの子供として生まれたことを話した。ライラ様のミスの事は話してない。
結果、シンディーには話が伝わらなかった。まず女神の事を知らなかった。別の世界ってのも理解出来なかったらしい。ただ俺が本当の事を言っているのは理解したみたいで黙っていた事に凄い怒った。
「何で私には黙ってたのにミーナには話したの?私には教えるつもりなかったの?母親なのに!」
そう言って俺の体に噛みついてきた。正直、シンディーに全部を話す必要はなかった。だけど馬になってから育てて貰った恩もあるから丁度いい機会だと思って話をしたんだが噛みついてくるとは思ってなかった。
「黙ってたのは今ので許してあげるわ!今度何かあったら私にも話してね?私はあなたの母親なんだから!」
そう言ってシンディーは庭の端っこで眠りについた。まあ、噛み付かれたのは黙ってた罰だと思って許してやるか。血が出てるけど。
シンディーと話した後、すぐに眠る気になれなかった俺は庭から空を眺めていた。地球と違い、夜になると無駄な明かりがないこの世界は夜には満天の星空となり綺麗な景色だ。俺はボーッと空を眺め自分の先の事を考えていた。すると空から誰かの声が聞こえてきた。
「やっと見つけた!」
突然聞こえた声に驚いて声がした方に顔を向けると1人の女性が空に居た。空中に立っている?いや、空を飛んでるのか?
翌日、魔法学校に向かった俺はミーナとルナ、それと昨日の女性と一緒に居た。
「あ、あの。何でアンディーと一緒にいるんですか?」
ミーナが女性に戸惑いながら質問している。ルナも驚いて女性を見ている。
「そりゃ、こんな面白い存在がいたら私が気付かない訳ないだろ?」
面白い存在って。まあ、違う世界の事を知りたいんだろうな、この人の場合は悪気ないんだろうし。
「そもそも、どうやってアンディーの事を知ったんですか理事長!」
そう。昨日、突然俺の前に現れたこの女性は魔法学校の理事長だった。
「まあ、ちょっとした偶然だな。昨日の話なんだがな、結界に不思議な反応があったから原因を探して彼を見つけたんだよ!」
そう言って俺を見る理事長のリディア。ミーナ達も俺を見て説明を求めてくる。
◆
遡ること昨日の夜。
「やっと見つけた!」
そう言って現れた女性に俺が驚いていると庭へと降りてきてきた。
見た目は30代ぐらいの美人だが、不思議な雰囲気のある人だ。目が片方だけ色が違うみたいだし、一体何者なんだ?
「結界に不思議な魔力反応があったから警戒してたけど何も起きなかったし、悪意も伝わないから放置したんだけど。気になって探して良かったよ。まさか、こんな不思議な存在に出会えるとは!」
そう言って興奮した様子で俺を見る女性は何て事のない様子で言った。
「私の名前はリディアだ!魔法学校で理事長をしている。宜しく、元人間の不思議な馬さん?」
は?今なんて言った?元人間のって言ったよな?何で知ってるんだ?結界とか言ってるけどそれでバレたのか?
「君、会話することできるか?無理なら私が魔法で会話出来る様にするけど?私の言葉は理解してるか?」
俺が驚いているとリディアが話しかけてきた。どうやら俺と話をしに来ただけらしいな。俺はリディアにテレパスを使って話しかける。
あ、ああ。理解しているから大丈夫だ。それより、あんた何者なんだ?何で俺が元人間だと知っている?
「おお!驚いた!君はテレパスで会話するのか?まあ、幻獣や神獣じゃあるまいし当然か。何者なんだってのは先に言った通り魔法学校の理事長だよ。それで、何で元人間だと知っているだったか?それはこの目が教えてくれるんだよ。」
そう言って右目を触るリディア。リディアの目は左が茶色で右目が金色をしている。
目が教えてくれるってどういう事だ?
「私の右目は魔眼でな、見た相手の魂の形と色が見えるんだ。人間の魂ってのは似た形と色をしているから、馬なのに人間と同じ魂を持った君は元人間だと思ったのさ。まあ、普通はあり得ないんだがな。」
魔眼ってなんだ?俺はこの世界の事は詳しくないんだ。
「この世界?まあ、いいか。魔眼ってのは極稀に現れる不思議な能力を持った目の事さ。私の魔眼は安全な物だが珠に危険な魔眼を持つ者も存在している。例えば相手を操る魔眼とかな。」
へえー。つまり、リディアは俺の事を見て元人間だと気づいたのか。でも、何で俺の居場所がわかったんだ?俺がここにいるって知ってたのか?
「それは君が学校の結界を抜けた際に感じた魔力から、君の魔力を探して辿り着いたのさ。君の魔力は不思議だからね。」
俺の魔力?そもそも、さっきから言ってる魔力って何だ?
「魔力って何?って、君も魔法が使えるのに知らないのか?そもそも君は一体、何者なんだ?先程、この世界って言ったな?まるで、流れ人の様な言い方だ。」
流れ人?
「そうだ。他の世界から召喚された者や突然どこかから現れる者をそう呼ぶ。だが、私の知る流れ人は人間の姿をしている。だが君は人間じゃない。実に不思議な存在だ!さあ、君の事を教えてくれ!」
そう言って俺を見るリディアの目は話を聞くまで諦めるつもりは無さそうだ。仕方がない。
わかった。俺の事を話してやるよ。だけど、それは明日ミーナ達もいる場所で話す。何度も説明するのは面倒だからな。
「ミーナ?ミーナって、うちの学校の生徒のミーナの事か?そういえば、ここはミーナが暮らしてるカリーナの家だな。そうか、君がミーナの言っていたアンディーか。」
俺の事をミーナから聞いてるのか?
「ああ。彼女から頭の良い馬がいるって聞いていた。まあ、元人間なら当然か。わかった、話を聞くのは明日まで待つとしよう。」
◆
という訳だ。話すならまとめて方が良いからな。
昨日の事をミーナとルナに話すと2人も納得してくれたらしい。
「じゃあ、アンディーの事を教えて?秘密があるんでしょ。全部教えて?」
わかった。まあ、全員俺が元人間だってことは知ってるよな?だけど俺が人間だったのは、この世界とは違う世界。地球って呼ばれる場所で生きていたんだ。
俺がそう言うとリディアは何かを考えていて、ミーナとルナは首をかしげていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます