《どうやら友達が出来たらしい》

俺に気が付くと笑顔になって走って来るミーナ。


「アンディー!ビックリしたー、何でいるの?もしかして対抗試合の応援に来てくれたの?ってことはお父さん達も一緒に来てるんだよね?何処にいるの?」


そう言って辺りを見渡すミーナ。すると俺の後ろからシンディーが近づいてくる。


「あれ?シンディーも来てくれたの?」


ミーナはシンディーがいるのに気付き意外そうな顔をする。だから俺はシンディーがミーナと仲良くしたがっている事をテレパスで伝えてやる。


「そうなの?シンディー仲良くしてくれるの?」


ミーナがそう言うとシンディーが頭を突きだしミーナに擦り付ける。それをミーナが優しく撫でてやっている。


「ねえ、ミーナ?私の事は紹介してくれないの?」


ミーナが俺達と戯れていると先程ミーナを助けた女生徒がミーナに声をかけてくる。


「あ!」


どうやらミーナは彼女の存在を忘れていたらしい。正直、俺も忘れていた。


「ねぇ、ミーナが良く話してくれる子達でしょ?私にもちゃんと紹介してくれないかしら!」


そう言ってミーナの隣に来て俺達を見る女生徒。ミーナはすぐに俺達を紹介する。


「うん!こっちの少し小さい子が母親のシンディーで、こっちの子が息子のアンディー。2人ともこの子はルナ。私の友達なんだ!」


ミーナがそう言いながら紹介してくれる。最後の方は俺に言ったんだろう。嬉しそうだ!ミーナは俺との約束を忘れてなかったようだな。


「そうなの?似てるから兄妹かと思ったわ。それで、このアンディーって子がミーナが言っていた例の?」


ミーナに俺達を紹介されたルナが俺を見ながらそんな事を言う。例の?


「そうだよ!あ、ルナ、ちょっと来て!」


ミーナが俺達から少し離れてルナを呼んだ。そして小声でルナに話しかけている。だが、俺にもミーナの声は聞こえている。ということは隣のシンディーにも聞こえているはず。


「ルナ。アンディーが元人間ってことは秘密なの。ルナには初めての友達だったから思わず話しちゃったけど、本当は誰にも話さないってアンディーと約束してるの。だから誰にも言っちゃ駄目だよ。勿論、アンディーにも知ってるって言ったら駄目。私が怒られちゃうから。」


「まあ、普通は信じないから誰にも言わないわよ?私だって最初はミーナの冗談かと思ったんだから。まあ、ミーナが余りにも真剣だったから信じたけど普通は信じて貰えないわよ。馬が転生した人間で会話が出来るなんて。」


・・・・・・チラリ。凄い見られてる!今にも襲いかかって来るんじゃないかってぐらい殺気が出てる。そりゃ、ずっと騙してた様なものだしな。


誰が?ってシンディーに決まってるだろ。俺に聞こえてるんだから当然シンディーにも聞こえてる。まさか、こんな風にバレるとは思ってなかった。


すると話を終えたミーナとルナが戻ってくる。


「シンディーどうしたの?アンディーを凄い見てるよ?」


ミーナがシンディーの様子に気が付き俺に聞いてくる。俺は仕方なくミーナとにテレパスを使って話しかける。どうせルナにも知られてるなら隠しても仕方がない。


はぁ。2人の会話を聞いたからだよ。あんな所じゃ小声で話していても聞こえる。俺達は耳が良いんだから。ミーナは知ってるはずだろ。


「あ!」


俺が呆れた声で話しかけると、しまった!と口を手で塞いでシンディーを見るミーナ。ルナの方は突然の声に驚いている。


「あ、頭の中に声が?!嘘?これってテレパス?え?本当に馬がしゃべってるの?え?本当に?」


そう言いながら俺とミーナを交互に見るルナ。


とりあえず、ミーナ!秘密って言ったのに喋ったら駄目だろ?まあ、今回はルナが誰にも話す気が無いみたいだから助かったが。


「ごめんなさい。」


俺が少し怒りながら言うとしゅんとしながら謝るミーナ。


それと、ルナで良いんだよな?俺の事を誰にも言わないでくれてありがとう。そして、これからも黙っていてくれると助かるんだが。


「あ、はい。誰にも言いません!」


俺が声をかけると戸惑いながらも約束してくれるルナ。すると、その様子を見ていたシンディーが話しかけてくる。


「ねえ?どういう事か教えてくれる?さっきのミーナの言ってた話は本当なの?あなたは本当に私の子供なの?答えなさい!」


そう言って俺に顔を近づけてくるシンディー。ミーナが心配そうに俺を見ている。俺は覚悟を決めてシンディーに全てを話すことに決めた。次いでにミーナとルナにもテレパスで声が聞こえるようにする。


今、ここにいる全員とテレパスを繋げた。シンディーに今から俺の事を話す。ミーナにも黙っていた事があるから最後まで黙って聞いてくれ。


俺がそう言うとミーナとシンディーが頷いている。


「あの、私も聞いて大丈夫なんですか?」


ルナが困惑した様子で聞いてきた。まあ、中途半端に知られてるより全部話しといた方がいいだろう。俺がそう言うとルナも覚悟を決めて聞くようだ。


じゃあ、話すとするか。まず、と俺が話し始めた所で邪魔が入ってきた。


「おーい。アンディー達!ミーナが見つからないから帰って明日また来るぞ!」


そう言って俺とシンディーを迎えに来たらしいミグルが俺といるミーナに気が付く。


「ミーナ!お前こんな所に居たのか?随分と探したんだぞ!」


ミグルに声をかけられたミーナは驚いている!


「お父さん?!」


するとミーナの言葉にルナも反応する。


「え?ミーナのお父さん?」


驚いている2人にミグルが近寄る。とりあえず、俺の話は後回しだな。


「ミーナ、この子は?」


ミグルが一緒にいるルナの事をミーナに訪ねる。


「この子は私の友達だよ、お父さん。」


ミーナの紹介にルナもミグルに挨拶している。


「初めまして。ルナと言います!」


するとミグルが突然泣き出してしまう。どうした?


「ミーナに友達を紹介される日が来るなんて!」


ああ、そういう事か。ミグルはミーナが学校で友達が出来るのか随分と心配していた。まあ、牧場に居た頃のミーナからすると心配するのは無理がないだろう。


「もう!お父さんったら、恥ずかしいから泣かないでよ!」


ミーナは恥ずかしそうにミグルに声をかけている。その隣でルナが2人を見ながら微笑む。


「すまない!だが嬉しくてな。って、そうだ!2人とも戻らなくて良いのか?他の生徒は集会があるって急いでいたぞ?」


ミーナの言葉に顔を上げたミグルがそう言うと2人とも慌て出す。


「そうだった。急がないと!ミーナ?」


急いで戻ろうとミーナを引っ張るルナだがミーナが抵抗する。


「でも、まだ話しが!」


そう言って俺を見るミーナ。ルナも思い出したのか俺を見る。俺はそんな2人に声をかける。


話は明日にしよう。今は戻らないといけないんだろ?早く行きな!


「わかった。またね、2人とも!」


そう言って俺とシンディーを見るミーナ。そのまま急いで走っていった。


「さて、俺達もカリーナ達が待ってるから行くぞ!」


そう言って俺達を連れて校門に向かうミグル。


「私は戻ったらすぐに話してもらうから!」


校門で他の皆と合流してカリーナの家に向かう途中、ずっと黙っていたシンディーがそう言ってきた。

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