4章:魔法学校に来ました
《どうやら魔法学校に着いたらしい》
やっとミーナのいる魔法学校がある町に着いた俺達。
随分と大きな町だな。城のある城下町より大きい気がする。
「さて、ミーナが住んでるカリーナの家まで行くとするか!」
俺が町の大きさに感心しているとミグル達が歩き出す。町の中は随分と賑わっている。
魔法学校の生徒だと思われる制服姿の少年少女が多い。その子供達向けの屋台が沢山開かれている。
確か魔法学校には国中から12歳以上の子供が集まってくるって前にミーナが言ってたしミーナにも友達が出来てるといいんだが。
歩くこと数分、住宅街らしい場所に着く。その中でも一番大きな屋敷にミグル達が向かっていく。
「おーい。カリーナいるか?」
ミグルが屋敷のドアをノックする。どうやらミーナが暮らしてる場所に着いたみたいだ。
「はーい!どちら様ですか?ってミグルさん!お待ちしてました!」
そう言いながら出てきたのはミーナの家庭教師をやっていた魔法使いの女性だ。カリーナってのは彼女の事らしい。
「ちょっとトラブルがあって遅くなった。ミーナが世話になっている。ありがとう!」
ミグルがそう言って3人が頭を下げる。
「やめて下さい!私が連れてきたんですから面倒をみるのは当然のことです!」
頭を下げる3人に慌てるカリーナ。
「ところでミーナは今いないのか?顔を見たいんだが?」
ミグルが顔を上げてミーナの事を聞くとカリーナが呆けた顔をする。
「え?家にはいないですよ?手紙にも書いた通りミーナは準備の為に学校に泊まってます。」
カリーナがそう言うとミグルがショックを受ける。その横でミーナの母親が笑いを堪えて話し出す。
「ごめんなさいねカリーナ!この人ったらミーナに会えるって喜んで手紙を最後まで読んでないのよ。気にしないで!」
そういえば、ミーナに会いに行くとしか俺も聞いてないな?何かあるのか?準備って言ってるし。
「そうなんですね。じゃあ、今日は無理ですけど明日にでも会いに行きますか?対抗試合の練習をしてると思うので。」
落ち込むミグルにカリーナがそう声をかけると途端に元気になるミグル。どうやら今回は対抗試合ってのを見に来たらしい。
「練習の邪魔にならないかしら?」
ミーナの母親が隣のミグルを見ながらそう呟くとカリーナも苦笑いを浮かべる。
「え、ええ。保護者が見に来るのは当然だから大丈夫ですよ。まあ、余り煩くすると理事長が出てくるので注意してください。」
そう言ってミグルを見るカリーナ。ミーナの母親と叔母が頷いている。俺も頷いておく!
「滞在中はウチに泊まってください!アンディー達も庭に離して良いですよ。」
カリーナの言葉に甘える事にしたミグル達は俺とシンディーを庭に離して屋敷の中へと入っていく。
そして翌朝、朝食を食べ終えたミグル達が屋敷から出てくる。俺がミグル達に近付いていくとシンディーが声をかけてくる。
「良かったわねアンディー?あなたも久しぶりにミーナに会えるの楽しみでしょ?昔は仲良くするのを叱ったけど今は反対しないわ。ご主人様達は良い人間だって知ったもの。私もミーナと仲良くしたいわ。」
驚いた。久しぶりにシンディーが話しかけてきたと思ったらまともな事を言っている。ミーナと仲良くする気になったらしい。俺達はミグル達に着いていこうと近付いていく。
「ああ、お前達は連れてかないぞ?学校の中には入れないだろうからな。」
俺達に気付いたミグルがそんな事を言っている。は?何で?
「ミグルさん。大丈夫ですよ連れて行きましょう。馬を置く場所があるので平気ですよ?ミーナもアンディーに会いたがっていたので連れて行ってあげましょう。」
俺がミグルの言葉に驚いているとカリーナが連れて行っていいと言ってくれる!良く言った、カリーナ!
「そうなのか?俺が通ってた頃はそんな場所なかったけどな。まあ、いいか。よし、お前達も一緒に行くとするか!」
どうやらミグルも通っていた事があるらしい。親子で同じ学校を卒業するのか。何か良いなぁ!
カリーナの案内の元、皆で魔法学校に向かって歩く。昨日は気付かなかったが町にいる学生達の後ろには必ず大人が一緒にいる。彼等が親達なんだろうな。
ミーナと同じように親元を離れて学校に来ているのか学生達は親と一緒に楽しそうに話している。
そんな町の様子を見ながら歩くこと数十分。前方に大きな建物が見えてきた。城よりも広そうだ。一体どれだけの生徒が通っているんだろ?
「さて、先にアンディー達を連れて行きましょうか。」
カリーナがそう言って校門を潜った右側にある建物の方を指差す。
そのまま近くのスペースに俺達を置くとミグル達はミーナを探しに行ってしまう。
「後でミーナを連れて戻ってくるから大人しく待っているんだぞ!」
そう言って建物の中に入ってしまった。残された俺とシンディーは大人しく待つことにしたが正直暇でしかない。
すると建物の影から何か揉めてる声が聞こえてくる。
「あんた、ちょっと魔法が得意だからって調子に乗ってるんじゃない?平民の分際で私達より優秀なのが気に入らないし理事長に気に入られてるからって私達より偉そうにすんじゃないわよ!」
俺が顔を覗かせると数人の男女が1人を囲んでいるようだった。顔は見えないがイジメかな?文句を言ってるのは1人だけだが止めないって事は共犯だよな?
さて、どうしたものか。見過ごすのも気が引けるけど今はシンディーもいるし魔法を使いたくない。別にバレても良いけど隠してた事に文句言われそうだ。
「ちょっと、何とか言ってみなさいよ!黙ってるんじゃないわよ。」
おっと。考えている間にエスカレートしてしまった。女生徒に突き飛ばされて囲まれている生徒が転ばされてしまう。
仕方ないな。俺がそう思って軽い風魔法で追い払おうとすると1人の女生徒が現れる。
「一体、何をしているのかしら?イジメなら私が相手になるわよ?」
女生徒がそう言ってイジメをしている生徒達に手を向けると慌てて逃げていく。
「全く。大丈夫?あなたが言い返さないから彼女も調子に乗るのよ?一度しっかり文句を言えば2度と手は出してこないわよ。あなたの方が強いんだから。」
現れた女生徒がそう言って転んだ生徒に手を貸している。良い子だな。そう思って見ていると転んだ生徒の顔が見えた。かなり成長しているが見覚えのあるその顔に思わずテレパスを飛ばす。
ミーナか?
その問いかけにバッと振り向き驚いた後、笑顔になる生徒。その顔には昔のミーナの面影がしっかりと残っていた。
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