《どうやらアジトに潜入するらしい》
ソフィアが固まってしまった為、フェティア様は後の事を俺に押し付けてさっさと帰ってしまった。
現在、俺とソフィアは盗賊のアジトに向かっている。先に事情を聞こうと思ったがソフィアが妹達が心配だから早く戻りたいと言った為、向かいながら話を聞くことにした。
「あ、あの。本当に協力して頂けるんですか?」
ああ。それで?妹達が捕まっているってのは聞いたが何で捕まったんだ?
「それが・・・」
ソフィアの話しによるとエルフの里を抜け出して妹達と森の中で遊んでいると魔物に襲われたらしい。ソフィア達は魔物から逃げるため、持っていた転移石を使ったが転移した場所が知らない場所だったらしい。
「本当は里の場所を登録してある転移石を使うつもりだったんだけど持ってたのが場所を登録してない転移石だけだったんです。」
そう言って俯くソフィア。そして里に帰るために森を歩いていると盗賊と遭遇したらしい。
「私達は人間を初めて見たんです。普段はエルフの里を出ることを禁止されてるので人間が恐ろしい者だと知りませんでした。私は彼等にエルフの里を知らないか尋ねました。すると彼等は案内してくれるって言ったんです。けれど案内されたのは彼等のアジトと呼ばれる場所でした。」
アジトに着くと盗賊達はソフィアの妹達に剣を突きつけてソフィアに大人しくする様に命令したらしい。
「彼等は私達を奴隷として売るつもりだと言ってきました。でも、彼等の1人が私が持っている転移石に気がついたんです。転移石があればどんな場所からでも簡単に盗んで逃げる事が出来るって喜んでました。」
妹達が捕まっている為、抵抗する事も出来ず転移石を奪われてしまったらしい。
「転移石を奪った彼等は私達を売るために何処かに連絡しようしました。でも、私が彼等に協力すると言ったら今は売らないでやるって言って町から金目の物を盗んで来るように命令されたんです。私達エルフは気配を消すのが上手く簡単には捕まりませんから。」
それで、アジトから一番近いホービスで盗みを繰り返していたらしい。簡単には捕まりませんからって盗賊に捕まってるよな?
「それは、まだ妹達は気配の消し方を教わってなかったからで。私だけなら逃げるのも簡単ですけど妹達を見捨てる訳にはいきません。」
つまり、盗みをやらされてるのはソフィアだけで妹達はソフィアが逃げないように人質にされているらしい。
「私が少しでも戻るのが遅れると妹達が奴隷として売られてしまいます。今日中に戻らないといけないんです。」
そう言って歩くスピードをあげるソフィア。
それで盗賊達は何人ぐらいいるんだ?それと妹達の人数も教えてくれ。
「彼等は10人ぐらいですね。妹達は4人です。アンディー様は妹達を助けてくれるんですよね?」
そう言ってくるソフィアには申し訳ないけど、正直俺には力なんてないしなぁ。多少の魔法は使えるけど役にたちそうな魔法は思い浮かばない。
何とか頑張ってみるけど俺にも助けられるかは分かんない。フェティア様に頼まれたから頑張ってみるけど盗賊に俺の魔法が効くかどうか。
「アンディー様は魔法が使えるんですか?私も少しなら使えますけど、威力が弱いので余り役にたたないです。せいぜい、眠気を誘うぐらいで。」
そう言って落ち込むソフィアだけど、今使えそうな事を聞いたぞ?
なあ、眠気を誘う魔法が使えるのか?
「え?はい。本来なら相手を眠らせる魔法ですけど私が使っても威力が弱くて意味がないんです。」
その魔法を俺に教えてくれないか?その魔法を使って盗賊さえ眠らせたら妹達を助けるのは簡単になると思うんだけど。
「本当ですか?!あ。でも、アンディー様が使うことが出来ても盗賊達に使うためには近くにいないと効き目が薄いんです。」
なら、俺を盗賊達に渡せば良いだろ?別に俺に危害は加えないだろうしアジトの中に入れば後は簡単だろうからな。
「わかりました。私はアンディー様に従いますので協力出来る事があれば言って下さい。」
とりあえずの作戦を決めた俺はソフィアから魔法を教えて貰う。眠らせる魔法はスリープと言うらしい。俺は歩きながら魔法を唱えてみる。
「凄いです、アンディー様!近くにいたリスが落ちて来ましたよ!何だか私まで眠くなってくる様です!」
俺が魔法を唱えると近くの木からリスが落ちてきた。ソフィアが興奮気味にリスを見せてくる。確かにリスは眠っているみたいだ。
「これなら、彼等も絶対眠ってしまうと思います。」
そう言ってくれるソフィアだが、ソフィアには余り効いてないなよ?俺がそう言うと、ソフィアには耐性があるから余り効かないと教えてくれる。
「自分が使える魔法は余り効かないんですよ?アンディー様は魔法が使えるのに知識は余りないんですね?」
俺はただ魔法が使えるだけだからな。魔法については何も知らない。ミーナにあったら詳しく教えてもらおう。
「アンディー様!あそこの洞窟が妹達が捕まっているアジトです。」
歩くこと、二時間程。森の中に入って行くとソフィアが奥の方に見える洞窟を指差す。どうやら着いたらしい。
「私は何をすればいいんですか?」
そう聞いてくるソフィア。だが別にソフィアにやって貰う事は特にない。
とりあえずソフィアは盗賊に俺を渡したら妹達の所に行って俺から連絡するまで待ってろ。後の事は俺に任せておけばいいよ。
「わかりました。どうか宜しくお願いします!」
そして俺は盗賊のアジトに着いた。よし、潜入開始だ!
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