2章:騎士団に来ました

《どうやら凄い人物らしい》

ミーナが牧場から居なくなってから1年が過ぎた。


俺は2歳になっていた。相変わらず少しだが見学者が来ている!


最近は見学者を乗せて牧場内を走ったりしている。なんでも人を乗せるのに慣れさせる為だそうだ。


大人から子供まで男女問わず乗せているが、太った人を乗せるのは勘弁してほしい。重い。


「あら、噂ほど速くないざます。所詮、噂でしかないざますね」


上に乗ってる貴族のババアがなんか言ってやがる。遅いのはお前のせいだよ!落としてやろうか?


まあ、そんな事をしたら牧場に迷惑がかかるから何もしないけどさ。


「すまなかったなアンディー。重たかっただろ?貴族だから断れなくてな」


ババアを降ろした後、貴族達がいなくなるとミーナの父親がそう謝ってくる。


「それと悪いがお前には今度、騎士団の所に行ってもらう事になった。理解しているか分かんないが少しの期間だから安心してくれ。頼んだぞ!」


え?マジで?騎士団の所に行かなきゃいけないの?騎士団とか危なそうなんだけど。


それから3日後、ミーナの父親を乗せて騎士団のいる町まで向かっている。もうすぐ着きそうだ。遠くに町の物だと思われる煙や壁が見える。


「アンディー。そろそろ着くぞ!あそこは、この国の中心でもある大きな町でアンディーが行く騎士団はこの国の守りを担っている存在だ、頑張るんだぞ」


へえ。じゃあ城とかあるのかな?守りを担っているってことは一番守らなきゃいけない存在がいるってことでしょ?


貴族がいるんだから王様とか居てもおかしくはないよな。王様とか見てみたいなぁ!


「さて、着いたぞ!」


遠くで見えたときよりも大きな壁だな。この町って城下町なんじゃねえの?俺が町の大きさに驚いているとミーナの父親は中に入るために兵士みたいな人に話しかけている。


「ミグルさん!お久しぶりです。今日はどうされたんですか?」


どうやら、兵士と知り合いみたいだな?


「ああ。今日は騎士団に頼まれて少しの間、うちの馬を貸し出す為に来たんだ。今すぐ入れるか?」


え?そんな事は出来ないんじゃない?俺達以外にも沢山待ってる人いるし。


町の入り口である門の前には沢山の人が列をなして中に入れるのを待っている。なのに先に入れてくれる訳ないよな?


「そうなんですか?分かりました。ミグルさんなら問題ないですよ。どうぞ!」


え?マジで入れるの?兵士が門の隣にある扉を開けてくれる。


「ちょっと待て!何故その男だけ先に通すんだ?私は男爵だぞ?通すなら私が先だろ!」


俺達が扉を通ろうとすると後ろの方の馬車から太った男が降りてくる。


「申し訳ありません。こちらは特別な方なので!列にお戻りください!」


文句を言う男に兵士がそう言うと、男は俺達の方を見て文句を言ってくる。


「おい、貴様は誰だ?貴族ではなさそうだか貴様が私より偉いと言うのか?」


男がそう言って兵士を押し退けて向かってくる。すると、他に待っていた人達から声があがる。


「なあ、ミグルって騎士団に居たミグルじゃないのか?」


「え?あのミグル?マジかよ、初めて見たぜ俺!」


「うそー!あのミグル様?ほんとに?」


待ってる人達からそんな声が聞こえてくる。え?ミーナの父親って有名人なの?元騎士ってことは聞いてたけど。


「え?あのミグルだと?まさか本当か?」


文句を言っていた男は後ろから聞こえてきた事を兵士に確認している。兵士が頷くと途端に態度を変えて謝ってくる!


「申し訳なかった!どうか許してほしい!」


そう言って頭を下げる男にミーナの父親は気にしなくて良いと言って俺を連れて中に入っていく。


え?ミーナの父親って何者だよ!なんか偉い人ってことなの?


「さて、騎士団はあの城が見える所にあるんだ!少し時間を取られたが今から向かうからな。」


俺がそんな事を考えていると、遠くの大きな城を指差しながら教えてくれるミーナの父親。


すげぇ。まさに城だな。地球の図鑑に載ってる城より大きな城。まさに王様が住んでそうな城だ。さすが異世界だな!


俺が大きな城に驚いていると、ミーナの父親が俺を引っ張る。


「さあ、騎士団に行くぞアンディー!」


引っ張るミーナの父親に連れられた俺は騎士団に着いた。うーん。結構大きな建物だな。


「じゃあ、ちょっと待ってろよ。」


そう言って建物に入っていくミーナの父親。少しすると男性と一緒に出てくる。年はミーナの父親と同い年くらいかな?まあ、年齢は知らないんだけどね。


「この馬がそうなのか?確かに彼女の馬に似ているが。」


男性はそう言いながら俺の事を撫でる。彼女?


「まあ、1度会わせてみたらどうだ?とりあえず、少しの間は騎士団に預けるぞ?」


ミーナの父親がそう男性に言う。どうやら誰かに会わせる為に連れてきたってことなのか?


「わかった。とりあえず、一月程預からせてもらうぞ?」


1ヶ月間か。結構長いな。


「ああ。アンディーは賢いから大丈夫の筈だ。それじゃあ俺は帰るから。またな、アンディー!」


ミーナの父親はそう言って手を振る。俺が頷くと男性は驚いている。


「お前、本当に頭良いんだな。そうだ、ミグル。王がお前に会いたがっていたぞ!お前が来てるのはバレてるだろうから会いに行けよ!」


男性が帰ろうとしてるミーナの父親に声をかける。


「わかった。なら、この後に寄って行くよ。」


そう簡単に答えるミーナの父親。え?そんな簡単に会える存在なの王様って?マジでミーナの父親って何者だよ!


ミーナの父親の正体を気にしていると、男性が俺に声をかけてくる。


「さて、アンディーだったな。裏に行くぞ!お前に会わせたい奴がいるんだ。」


男性はそう言って俺を連れて裏に行く。てか、この人は何者なんだ?


裏に行くと騎士団の団員らしき人達が剣を使って訓練をしていた。1人が俺達に気付き訓練を中断して声をかけてくる。


「お疲れ様です。団長!」


そう挨拶された男性は全員を集める。この人、団長なんだ?国を守る騎士団の団長ってことは凄い偉い人なんだな。


「さて、一応お前達にも紹介しておこう!この馬はミグルから少しの間だけ借りる事になった。皆もよろしく頼む!」


団長がそう言うと、ミグルって名前に皆驚いている。やっぱり有名なんだな?


「団長!その馬は彼女の為に連れてきたんですか?」


俺が考え事をしていると団員の1人がそう質問してきた。


「ああ。今、彼女は何処にいるんだ?」


団長がそう言うと団員が教会の方にいると答えている。


「わかった。じゃあ全員訓練に戻れ。」


団長がそう言うと全員訓練に戻っていく。


「さて、アンディー。今から教会の方に行くぞ。」


どうやら、教会に例の彼女がいるらしい。一体、俺は何の為に連れてこられたんだ?


俺が疑問に思っていると教会らしき建物が見えてくる。彼女って一体どんな人なんだろうな。

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