《どうやら無事に見つかったらしい》

ミーナが行方不明になったと聞いて外に出してもらった俺はミーナを探して走り回る!


だが、牧場ないをいくら探してもミーナは見当たらない。どうしたものかと考えていると地球にいた頃に聞いた事を思い出す。確か、馬ってのは嗅覚が良かったはず。


俺はミーナの匂いを追うため一度ミーナ達が暮らす家に向かった!


「アンディー。ミーナは居たか?」


家に着くとミーナを探していた父親と出くわす。どうやらミーナが戻ってないか一度確認しに来たらしい。


俺は父親を無視してミーナの持ち物を探す。匂いを覚えるためだ!普段は匂いなんて気にしてなかったから覚えてなかったんだよ!


外に置いてあったミーナの靴を発見した俺は急いで匂いを覚える。よし、覚えた!後は、この匂いを追うだけだ!


俺は急いで一番匂いが残ってる道を追いかけていく。やがて、森へと続く柵にたどり着く。どうやら匂いはこの先だ!


森に入ったのか?こんな夜遅くに?確か、この森は動物や魔物は居ないって話してるのを聞いた事がある。多分、無事だろうけど夜の森だ。何が起こるかわからない。俺は柵を飛び越え森の中へと入る!


俺はミーナの匂いを追って森の中を進むが、途中で匂いが途切れてしまった。いや、匂いは残ってるけど他の匂いが混ざってわかんなくなったってのが正解だな。


森の中は月明かりがあるが暗い。ミーナは一人で大丈夫だろうか?ミーナは魔法が使えるし例え何かあっても大丈夫だと思うけど心配だ。


俺は森の中を駆け回る。すると、近くに泉を見つけた!月明かりが反射して綺麗な場所だ。もしかすると!


俺が泉に向かって行くと、泉の方から声が聞こえてきた!


「いや!来ないで!ウォーターボール」


泉に着くとミーナが反対側にいた。だが、ミーナの側には犬みたいなのが三匹いた。一匹は倒れているが二匹がミーナに飛びかかっている。


ミーナは魔法と木の枝を振り回して二匹を自分に近づけないようにしているが逃げる事が出来ないようだ。待ってろ!今すぐ助けるから!


俺は急いでミーナがいる方に駆け出す。ミーナ達に近づくと俺は注意を引くために雄叫びをあげる。ミーナと犬が俺に気が付く。


犬は俺に気が付くと驚いたのかミーナから離れて距離をとる。ってか、こいつら魔物じゃないのか?犬とは少し違うように思う。森には魔物とかはいないんじゃなかったのか?


「アンディー!何で森に?もしかして私を探しに来たの?」


犬の魔物が離れたことでミーナが泣きそうになりながら俺の所に逃げてくる。


「アンディーありがとう!でも、あなたまで危険になるわ!急いで逃げるわよ!」


ミーナがそう言って俺に乗ろうとするが魔物がミーナに襲いかかる!あぶない!


俺は魔物に向かって体当たりをするが、少し吹き飛ばされただけで体勢をたて直して向かってくる。仕方ない。練習してないがミーナを守るためだ。


俺はミーナの前・で魔法を使う。風魔法で風の球をぶつけただけだが威力は高かったらしく当たった一匹は気絶して動かなくなる。残る一匹は俺が魔法を使った事に驚いたのか二匹を残して逃げていく。少しすると一匹ずつ気絶していた奴が目を醒まして逃げていく。


どうやら無事にミーナを助けられたらしい。だけど、さっきからミーナが静かだ。後ろの方に見えるミーナは口をポカンと開けてたっている。俺がミーナの方に体を向けると、


「アンディーが魔法を使った?え?今の魔法よね?何でアンディーが魔法を使えるの?もしかしてアンディーって魔物だったの?」


あ!ミーナを助けるのに夢中で後の事を考えてなかった!まずいぞ。もし、ミーナに魔物だと思われたら後が大変な事になる!


「大変!アンディーが魔物だったら殺されちゃうわ!そんなの駄目!急いで逃げなきゃ。アンディー一緒に逃げましょ!」


恥ずかしいな俺。自分の心配しかしてないじゃねえか!ミーナは俺が魔物でも一緒に逃げるって言ってくれている。それだけ大事に思ってくれているって事だ。なら、ミーナの為にも俺に出来ることをしよう!学校の事だってあるし。


俺はミーナの家庭教師が教えていたテレパスを使ってみる。上手く使えればミーナに俺の言葉を伝えられる。無理なら別の方法を考えよう。俺に乗ろうと慌てているミーナに俺は落ち着けと声をかける。


「え?今誰かの声が聞こえた?気のせい?」


どうやら上手くいったみたいだ!ミーナは辺りを見渡して人を探す。だが誰も見つからず、また俺に乗ろうとする!俺は乗ろうとするミーナをよけてテレパスを使って再びミーナに声をかける!だから落ち着けって!


「また?誰かいるの?誰なの?」


落ち着かない様子で辺りを探すミーナ。違う!そっちじゃない。俺は目の前だ!俺がそう言うとミーナは俺の方をバッと振り向いて固まる。


「え?う、うそ?今のアンディーの声なの?そんな訳ないわよね?」


いや!俺がテレパスを使って話しかけてる!まずは落ち着け!って言っても無理だよな。まあ、俺は魔物じゃないから逃げる必要はないから落ち着け!な!俺がそう言うとミーナは驚きながらも頷いてくれる。


「じゃあ、アンディーは神様なの?お母さんが神様はいつもミーナを見ていてくれるわって言ってたよ?アンディーいつも私の事見てたでしょ?」


いや、違うよ?俺が神様なんて言ったら本物に叱られるから!何から話せばいいのか。ミーナ!今から話すことはミーナと俺だけの秘密だ!約束出来るか?ミーナの顔を見ながら俺が聞くと、


「わかった。絶対に誰にも話さない。だからアンディーの秘密を教えて?アンディーは誰なの?」


俺が誰か。難しいな。まあ、今から話すことは本当の事だからミーナは話を聞いて判断してくれ。ミーナが怖がるなら俺は。


そして、俺はミーナに自分の事を話し始めた。地球の事と女神様の事だけは話さず、俺が元は人間で死んでウマに生まれ変わった事。生まれ変わった後も人間だった記憶を全部持っていること。だから魔法を使う事が出来る事など。俺の話しを聞くミーナの表情は真剣だった。


「じゃあ、アンディーは本当は人間なの?」


いや、違うよ?生まれ変わったから今はウマだよ。ミーナは俺の事が怖いか?俺がそう聞くとミーナの表情が怒りに変わる。


「怖くないよ!驚いたけど怖くない。アンディーはアンディーだもん。アンディーは私の友達で弟だよ!」


うーん。弟じゃなくてお兄ちゃんじゃない?俺はミーナの事を妹の様に思ってるから!


「なんで?アンディーはまだ一歳だよ。私の方が年上だから私がお姉ちゃん!はい、決定。」


決まっちゃったの?まあ、ミーナがお姉ちゃんで良いよ。それより、ミーナは何で夜に森なんかに来たんだ?皆、心配して探してるぞ!駄目じゃないか!俺がそう怒るとミーナも反省している。


「ごめんなさい。でも、一人で考えたかったの。ねえ、アンディー。アンディーは私が学校に行った方が良いの?」


ミーナは俯いてそんな事を言う。昼間の事か。ミーナは俺が扉を開けた事を言ってるんだろうな。さて、ミーナになんて説明すれば良いのか。


「アンディーは私に友達が出来ると嬉しい?」


俺が考えているとミーナがそう聞いてくる。それは嬉しいよ?ミーナが一人でいるのは俺は心配だから。学校に行けば友達も出来るだろうし、ミーナの将来の為にもなるだろ?友達が馬だけなんてミーナが平気でも俺は嫌だな。


「でも、学校に行ったら二度とアンディーに会えなくなるかも。アンディーの事を欲しがっている人は多いし、後少ししか一緒に居れないかもしれない。会えなくなるのは寂しいよ。」


ミーナはそう言って泣きながら俺に抱き付いてくる。


ミーナが一番心配なのはそこなんだな。でも、いつかは別れる日が来るんだ。それが早いか遅いかの違い。俺のせいでミーナの将来の邪魔はしたくない。俺がそう言うとミーナが顔をあげる。


「私の将来の為に学校に行かせるの?アンディーはその方が嬉しいの?」


ミーナ!俺はミーナの事を忘れないし、ミーナも俺の事は忘れないだろ?だって俺達は姉弟なんだから。ミーナが困ってたら俺が絶対に力になってやる!だから、今はミーナの将来の為にも学校に行ってミーナが立派になった姿を俺に見せてくれよ。お姉ちゃんなんだろ?


「私の立派な姿?お姉ちゃんだから?」


そうだよ。お姉ちゃんなら俺に一人で大丈夫って所を見せてくれよ。俺にミーナの友達を紹介してくれ。俺も頑張るから。


「わかった。私、学校に行く!それで、アンディーに私の友達を紹介する。それで、その子に紹介するわ。私の一番の親友だって!」


ミーナは俺の話しを聞いて学校に行く事を決めてくれた。嬉しい事言ってくれるじゃねえか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る