Side:ミーナ

私の名前はミーナ。11歳。お母さんはリーナ。お父さんはミグル。二人は牧場をやっていて私も一緒に手伝っている!


今日は凄く楽しみな事があるの。半年前にうちの牧場に来たシンディーが子供を産むんだって!


シンディーは前の牧場で酷い扱いを受けていたらしいけど半年前に牧場が潰れてうちに引き取られて来たの!


うちに来たときに妊娠してる事が分かったんだけど、前の牧場では気づいてなかったみたい。酷い人達だと思うわ。


シンディーは私達の事を信用していないみたいで近づくと怒るけど私は彼女が好き!だって綺麗な子なんだもん!目も凄く綺麗な色で素敵だと思うわ。


そんな彼女の子供が今日産まれるの。昨日から皆大忙しだわ。私も楽しみで今から産まれる子の名前を考えてるわ。きっと、シンディーに似た綺麗な子が産まれるんだわ!


お母さんとお父さんがシンディーがいる小屋に急いでるのを見かけた!もうすぐ産まれるのね!私も行かなきゃ!


「ミーナは外で待ってな!中は忙しいから邪魔になるといけないから」


私が小屋について中に入ろうとすると、牧場を手伝ってくれているお母さんの妹のエリカおばさんに止められちゃった。


確かに邪魔になったらシンディーに迷惑がかかるから大人しく外で待ってることにした。


「急げ。早く外に出して心臓マッサージをするんだ!」


私が外で待ってると、しばらくしてお父さん達が子馬を運んできた。でも、子馬の様子がおかしい。お母さんが魔法で雷を手に纏わせて子馬に触る。


子馬の体がビクンと跳ねる。お父さんがすぐに心臓マッサージをしてるけど子馬はピクリとも動かない。シンディーの子供死んじゃったの?


私は動かない子馬の様子を見て泣きそうになった。神様、この子を助けて!私は目を瞑って神様に祈った。


私が神様に祈ってから目を開けて子馬を見ると、子馬の目が少しずつ開いたの!やったわ!私の祈りが神様に伝わったのね!


「よし、とりあえず大丈夫そうだな。俺はエリカの方を手伝ってくるからママとミーナは子馬を見ていてくれ!」


お父さんはそう言って片付けに小屋の中に戻っていった。


「もう大丈夫だからミーナも近くにおいで!」


お母さんに呼ばれて子馬の近くに寄ってみる。良かった。元気そうだわ!無事に産まれて良かったわ!私がそう言うとお母さんも嬉しそうに同意してくれる。


「おお。無事に息を吹き返したようだな。後は何か後遺症がないか調べないとな。」


少しするとお父さんが戻って来て、子馬の様子を観察する。シンディーは元気だって。良かった!


お父さんが子馬を見ているとお母さんが子馬が立ち上がらない事を不審に思ってお父さんに聞いている。お父さんは足に何か後遺症が出たのかもって言ってる。


「可哀想だが、立ち上がらなければ殺すしかないぞお前?」


観察していたお父さんは、立ち上がらない子馬にそんな事を言った。酷い!まだ生きてるのに殺すなんて可哀想よ!私がそう言うとお父さんは仕方がないと言う。


「足に後遺症があるなら動くことも出来ないし苦しむのはコイツだ。それに、見込みがないなら育てる余裕がこの牧場にはないんだ。分かってくれミーナ。」


お父さんが言うことは私にも分かるけどシンディーは?あの子の為にも死なせたくないわよ!頑張って立ち上がって、お願い!


私が子馬に呼び掛けると目が合った。シンディーに似た綺麗な目。子馬は私の目を見ると体に力を入れて立ち上がろうとする。頑張って!


皆で子馬を応援していると子馬がやっと立ち上がった。私は子馬の背中を撫でてみる。柔らかな綺麗な毛並みだわ。将来はお母さん似の綺麗な白馬になるわね!


「よし、少し歩く練習をさせてみよう!」


お父さんがそう言って子馬に紐を付ける。小屋まで歩かせるつもりらしい。私はお願いして紐を持たせてもらう。


小屋に着くとエリカおばさんが中で片付けをしてる。私は子馬の紐をエリカおばさんに渡してシンディーの所について行く。


シンディーは子馬に気付くと子馬の顔を舐めている。心配だったんだね!シンディーが子供を庇って威嚇し始めたから私達は小屋から出ていく事にした。


子馬の名前はアンディーに決めたわ!シンディーに似たあの子ならピッタリの名前だわ!


1週間も経つとアンディーは元気に走り回る事が出来るようになった。背中に乗せてもらってアンディーに走ってもらう。アンディー速~い!アンディーは大事な友達だわ!


アンディーと遊んでいると家庭教師が来る時間になった。魔法の勉強をするんだけど先生は私が天才だと言って学校に行くよう勧めてくる。私には分からないけど魔法の精度が高いらしい!


学校に行くとアンディーと離ればなれになるから嫌だと言って断った。


魔法の勉強が終わって今度は動物達のご飯を用意する時間になった。皆で手分けして用意する!私は馬達のご飯を用意する事にした。


今日からはアンディーも干し草を食べることになっている。そうだ!アンディーにはアップルを用意してあげよう!初めての子は干し草を最初嫌がるからご褒美に用意してあげるの!きっと喜ぶわ!


順番に馬達に干し草をあげていく。アンディー達の番が来たわ。シンディーは干し草を大人しく食べているけどアンディーは口をつけないで私と干し草を交互に見ている。その様子が可笑しくて笑いそうだわ!


私はアンディーにご褒美のアップルを見せる。するとシンディーがアップルを見て涎を垂らしてる。しょうがないからシンディーにもアップルを投げてあげた。するとアンディーも干し草を食べ始める。


食べたご褒美にアップルをあげると喜んで食べてた!アンディー可愛い!


アンディーが産まれて1年が過ぎた!アンディーは体も大きくなり綺麗な毛並みの白馬になったわ。アンディーの噂を聞いて遠くから見学に来る人も増えた!


今では、アンディーのお陰で牧場も人を雇えて楽になったわ!でも、一つ心配なのが騎士団以外の人にも馬を売るようになってからアンディーが欲しいって人が増えたの!


一度、貴族の人が欲しいって言ったときに泣いて騒いだらアンディーはまだ売らないって約束してくれた!


「ねえ、あなた牧場の子なの?私と話さない?」


家族で来てる女の子が話しかけて来た!?私は焦りながら忙しいって言ってその場を離れる!


それから数日、明日で12歳になる私はお父さんとお母さんから魔法学校に行くよう言われた。絶対に嫌だ!


「お前も友達を作りなさい!魔法学校に行けば友達も出来るはずだ。お前の将来の為にもなるんだ!」


お父さんがそう言ってくるけど、アンディーがいるから友達なんていらない。私はアンディーの所に行ってアンディーを連れて倉庫に閉じ籠った。


お父さん達が出てくるように言うけど学校に行かせるのを諦めてくれるまで出る気はないわ!だけど、私がそう考えているとアンディーが扉を開けてしまった!なんで?なんで開けたの?アンディーは私の味方じゃないの?


私はアンディーに泣きながら叫ぶけど馬であるアンディーからは返事はない。私はアンディーに裏切られた気持ちになって部屋に閉じ籠った!


夜になって私は家を抜け出した。牧場の裏にある森の中に入って行く。この森は私のお気に入りの場所。虫や鳥の声が心地が良くて昼間に暇なときは良く来る場所なの。だけど、夜に来たのは初めてだわ!


森の中にある泉の側に座って泉を眺めて今日の事を考える。もしかしてアンディーは私と一緒に居たくないのかも!だからあの時。


そんな事を考えていると後ろから木の枝が折れる音がした。私が後ろを見ると、そこには一匹の犬の魔物がいた。すると、後から二匹が出てくる!


なんで?この森は危険な動物や魔物は居ないはずなのに!私は三匹の魔物を見つめながら心の中で助けを求めた!




アンディー。助けて!

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