同級生のテラダのことが嫌いだな、という話。

舞島由宇二

テラダよテラダ、何故お前は存在するの?

テラダという何故存在しているのか皆目見当のつかない同級生がいるのだが、彼の小さな言動の一つ一つに悪寒がはしる。例えば彼は食べ物のことをメシと言うのだが、そのたった2文字ですら彼の口から吐き出されると不思議と許せない。

彼が言う’’メシ’’を食べ物だとは到底思えないのだ。


その何故か同級生のテラダ という男の忙しなさと慌ただしさも嫌いでたまらない。

テラダごときの人生において大した用事なんてないだろうに、全ての行動がまるであっという間に過ぎ行く一年のように忙しない。


だから僕はその意味を込めてテラダの上履きに赤いマッキーで365という落書きをしたのだ。


「これは何かのメッセージだよ、事件だ、事件に違いないね!」

そこはさすがテラダと言った感じに、あっという間にわけの分からない勘違いをした。

――もしかしたら誰かが助けを求めているのかもね。

という僕のどこまでも適当な発言がテラダの勘違いに拍車をかけ、それは大変だ、すぐに行かなくちゃ、などと口走り、あるはずもない事件を追って駆け出した矢先転倒してテラダは足を折って、入院した。


翌日お見舞いに行くとテラダの足は大げさなギプスで固定されていた。

どうやらテラダは眠っているようで、僕が来たことには気がついていない。

静かな病室の中スヤスヤとテラダの寝息が聞こえる。


――改造手術うまくいくといいな。それで早く学校戻って来いよ。何度でもお前の足折ってやるからな。

僕はそう固く強く誓った。

誓いの印と思い、持参した赤いマッキーでギプスに365と記しておいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

同級生のテラダのことが嫌いだな、という話。 舞島由宇二 @yu-maijima

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ