0.滅神セイクリッドティア
このお話は未来の話です。
どの程度未来かと言えば第一章の終わりのあたり。
いろいろ謎だらけでしょうがお付き合いください。
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ふむ、今回ロキが選んだ少年はなかなか聡明なようで結構。
ほかの神々が干渉しているかどうかは知らぬが、力を得て振り回すことしか知らぬ猿では困る。
だが、ロキよ、ライフミラージュの説明もせずに返すのはどういう了見だ?
神との争いとなれば、あれの存在は必須だというのに。
……まあ、時期が来れば、ほかの神々も動き出すか。
私の出番まで大人しく、ここで待つとしよう。
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さて、あれが神の尖兵か。
人を模した巨兵、偽りの神。
私が対峙するべき相手だが……まずはカイト=イシュバーンの出方を見るとしよう。
あの程度の神気しか持ち合わせていない、偽神にすら負けるようでは、この先も勝てないからな。
さて、どうでるか。
「あのさぁ、セイクリッドティア。見物もいいけど、君も働いてくれないかな?」
「む、ロキか。いつからここにいた?」
「ずっと前から様子を見てたよ。……あれ、神の尖兵だよね? 君が出て行かないと、そうそう倒せない相手でしょ?」
「かもしれぬ。だが、あの程度の存在、私なしでも倒せねば……」
「いや、さ。あれに宿っている神気を見て話をしてるんだろうけど。ライフミラージュには、まだ神気が宿っていないんだよ?」
「む? それはどういう意味だ?」
「言葉通りの意味さ。ライフミラージュは、神から与えられた機装のひとつではある。でも、神々は機装に神気を与えることができなかったんだよ」
「つまり?」
「神気が宿っていないライフミラージュに、神気が宿っているあの
なんと、機装には神の力が宿るのではなかったのか?
……ふむ、確かに、こちらの攻撃が、一方的に神の防壁に弾かれているな。
宿っている神気の量を考えれば、こちらにも神気があれば軽々と引き裂けるはずだが。
「あの木偶人形を作ったデミノザも考えているよね。神気を防壁にしか使わないことで、一方的に攻撃できる環境を整えてる」
「……悔しいが、そのようだな。それで、ロキよ。どうするのだ?」
「だから、君の出番でしょ? 君なら神気を奪って、その力であれを切り裂く、その程度は簡単なはずだよ」
「……まあな。だが、カイト=イシュバーンは私を使おうとしていないぞ?」
「単純に君を使うって発想がまだないからじゃない? だって、君、自分の役割を説明していないでしょ?」
む……そう言われれば、そうだったかも知れぬ。
このまま戦わせても、ライフミラージュのマナが切れるほうが先か。
「……仕方があるまい。直接、カイト=イシュバーンに呼びかけるか」
「そうしてよ。君が働かなかった結果として、カイトが負けたらそれはそれで大問題なんだから」
「承知した。さて、それでは、始めるとしよう」
私は意識を集中し、カイト=イシュバーンに語りかける。
あちらも、それに応じ、私を使う気になったようだ。
「これで、安心できるよ。それじゃあ、またね」
ロキの気配が薄くなり、その姿も消え去った。
戯曲神ロキ。
ほかの神々とは違い、定められた力を持たぬもの。
ゆえに、自在に人の世へ渡れる神。
信用はできぬが、目的が一致している限りは、問題ない……か?
「コール、セイクリッドティア!」
どうやら、私の出番が来たようだ。
さて、一暴れするとしよう。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
カイト=イシュバーンの駆るライフミラージュが、私を手に取り、木偶人形相手に身構える。
……ロキの奴が両手剣である魔剣ソウルイーターを渡していたがゆえ、その様は歴戦の
木偶人形は、こちらの攻撃が一切通らないことで油断しているな。
守ろうという意思をまったく感じられぬ。
こちらにとっては、とても好都合だが。
カイト=イシュバーンとともにライフミラージュに乗っている魔術師が、木偶人形に向けて魔法を放つ。
それらはすべて防壁で遮られるが……どうやら、一方的に攻撃を受けているのは嫌らしい。
回避行動を取り始めたが、鈍重だな。
「いまだ!! いくぞ、セイクリッドティア!!」
『応!』
カイト=イシュバーンは、ブースターを全開にして突撃をかける。
相手の機動力を考えれば最善に近い一手だ。
無論、あちらも迎撃に入るが……遅すぎるな。
こちらにあわせるように振り下ろしてきた右手の剣。
それに対し、カイト=イシュバーンは私を振り下ろした。
私は振り下ろされるまま、相手の神気をむさぼり、破壊の力へと変換する。
それにより、木偶人形の右腕は容易く切り飛ばされることとなった。
(尖兵とはいえ、所詮は形を整えられただけの木偶か。相手にならぬな)
カイト=イシュバーンは相手の左腕も切り落とす。
その後、木偶は逃げようとしたが……私の前からは逃げられなかったようだ。
(初めての機装戦と考えれば上出来か。カイト=イシュバーン、悪くはないな)
まだまだ未熟とはいえ、
さあ、神狩りの始まりだぞ、カイト=イシュバーン。
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