第5話

「そう、私のこと知らないんなら。あんたもうダメかもね」

「何言って「私の重さは光の中にある」


 瞬間、重力の小さな渦を辺り一面に出現させ、狙ったポイントの重さを極端に重くする。


「ぐおっ!?」

「私さ、不自由って嫌いなんだ。自分が縛られたくなくって」

「お前っ! バロールっ!」

「だからさ、自分がされて嫌なことを他人にするのが一番効果があるって思うんだ、さておじさんはもう動けないね」

「つっ!?」


 身体を、足を、腕を、すべてを重くする、制限する、禁止する。

 目に見えない重さが自由を縛る。

 身動きが取れなくなったエモノを相手にヒナが狙いをつけて。


「私の弾は、痛いよ、覚悟してね」


 彼女の血が、の血が混じった血弾を打ち出す。

 着弾した血液は彼の内部へと侵入し、内側から彼を壊していく。


「ぐ、ぐぅ…クソったれどもめ!!」


 しかし喚くだけの彼はもはや何もできない。

 自由の中の籠の鳥だ、もう飛ぶことの叶わない。


「そのまま私たちの前から消えて」


 呪詛をまき散らしながらその男はその場で数度死に、死んで、死んで。

 死にきって、もう動かなくなる。

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