抱いてください!


 このままエールさんを押し倒したとして、愛人さんがなんと云うか……

「マレーネさんは大丈夫なのですか?私がエールさんを抱いたとして、嫉妬しないのですか?」

「……」

 あれ、返事しなくなりました。

 機械音がしていますよ、マレーネさん。

「たしかに……そのことを計算すると……」


 宇宙最高の人工知能さんも、計算ミスをするのですね。

「マレーネさん、生体実体化の方は了承しますが、押し倒しの話しは、百戦錬磨のサリーさんに相談しましょう」

「そうでした、サリーさんは愛人の第一人者、このような時には彼女の判断が優先される決まりでした」


 サリーさんと相談しています。

 サリーさん超渋い顔ですが、「そのエールさんは望んでいるのですか?」

「間違いなく、ただしストレートには表現しないでしょうが」


「女性とは、えてしてそういう行動をすることもありますが、ここははっきりと自らの口で云ってもらいましょう」

「でなければ私たち妻は収まりません、嫌と建前でもいわれるのなら、無理してエールを抱くことはありません」


「マレーネさん、私は皆を呼んできますので、その後、エールさんに話して下さい」

 皆がそろったところでエールさんとの通信が回復しました。


 マレーネさんが、

「マスターのお許しが出たので、汝が望むなら、生体に実体化する方法を授ける」

「汝はこれから有機体アンドロイドに進化できる、その後の望みは、サリー様との交渉次第である」


 サリーさんが、

「マレーネさんが、お嬢様に貴女を抱けといいますが、私たちは、貴女がたとえ心の奥底では望んでいても、自らここではっきりと云っていただけかなければ、これを認めるわけにはいきません」


「私たちはお嬢様の愛人です、しかも私たち以外にも大勢の女がいます、貴女もその一員を望むなら、自身の言葉ではっきりとお願いしてもらいます」

 サリーさん、厳しい顔で云い放ちました。


 薫さんが、

「私は惑星エラムの監視端末です、私が実体化して、マスターに抱かれるまで、どれほどの苦労があったか知らないでしょう」


「毎日涙ぐましい努力をしたのです、それをなんですか!誘惑の努力もせずに、望めば抱いてもらえるなんて!それは許容できません」


 薫さん、えらく怒っています。


 アナスタシアさんも、

「私も、抱かれたいなら、それなりの格好で来るのが筋とおもいますが……」

 なんかエールさんが、お局さんにいびられる新米社員に見えてきました、これは助け舟が必要かもしれません。


「エールさん、貴女のお気持ちは、マレーネさんより聞きましたが、たしかに意思表示をはっきりと示していただけなければ、その……、ベッドの話しは無しとしたいのです」


「やはり貞操の問題ですからね、また今度の機会でも良いですし、それに修道女さんを抱くのは、いかがかとも思いますし」


「……嫌です、私はご主人様を待ち望んできました」

「そうでした、恥ずかしいと思っていてはいけません」

「どうかお情けをもちまして、私をモノにしてください!、この格好が駄目なのですね!」


「お許し頂いて、実体化させていただきたい、ちゃんとした格好でお目通りしたいとおもいますので?」

 マレーネさんが、「許可します」

 いいのですか?


 エールさんが実体化しだしました。

 エールさんは物凄く綺麗な女でした、東欧系のスーパーモデルですか、素晴らしく足が長いです。


 その格好は、全裸ではないのですが、これは服ではありません。


下には、べリーダンサーがよく身につける、銀製のコインベルトだけ。

さらにボディチェーンというのか、首には細い銀メッキのワイヤーのチョーカーに、青いチェコビーズ?が幾つも付いていてます。


胸にも、細い銀メッキのワイヤーが絡みつき……その、飾っているのですが……丸見えなのです……


腰からお臍のあたりにも、銀メッキのワイヤーが細く回って、お臍あたりに、青いスワロフスキーの飾りピアス、そしてそこから、小さな赤いスワロフスキーの飾りのついたアジャスターがついています。


 真っ白な肌にこの格好をされると……、自制心が簡単に飛んでしまいそうです。


 恥ずかしそうに全身を真っ赤にしていますが、

「お願いです、どうか永い歳月の寂しい気持ちを、忘れさせて下さい」

 長い睫毛が濡れています。


 泣き落としに弱いのですが、マレーネさんあたりが入れ知恵したのでしょうか。

「皆さま、どうか、私を認めてください」

 だから、十分に要求に答えますから……

 

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