第7話 ろくろく五六
私達はずっ友だよね!
六人で一つだからね!
大人になっても六人で飲もーね!
そんな約束を覚えているのは、きっと私だけだ。
小学生の時、私には仲の良い友達が五人いた。
イチコ、ニコ、ミコ、ヨウコ、ココ。
私達は、いつも六人一緒だった。
「ほんと仲良しだよね」
皆はそう言っていたけど、果たして本当にそうだったのだろうか。
いや、今だから断言出来る。
私達は、仲良しなんかじゃなかった。
六人で一つでもなかった。
皆バラバラだった。
ニコとココが喧嘩した。
原因は、一緒に帰る約束をしていたのに、ココが先に帰ってしまったかららしい。
ニコは夕焼け小焼けのチャイムがなるまでずっと待っていたらしい。十二月半ば、かなり冷え込む季節だった。
ココは「クラスの代表に選ばれたから発表会の開会の言葉を考える為に先生に居残りさせられていた」と必死に謝っていたが、ニコは聞く耳を持たなかった。
ニコは私とヨウコにココの悪口を言い、共感を求めてきた。
ヨウコは「ココって元々さ〜」と便乗していた。
私はこの事をイチコに相談した。イチコは「私はココに愚痴られた」とボヤいていた。
次第に私達のグループは二つに別れていった。
イチコとココと私。
ニコとヨウコ。
あれ?
ミコは?
ミコはいつの間にか消えてしまった。
私達とは口を利かなくなった。
グループに居ないんじゃ、もう私とミコは他人だ。
今度はミコの悪口をヨウコが呟き、ココが「同感」と漏らし、私達は五人グループになった。
それから暫く経って、突然ミコが話しかけてきた。
「私が居ないのに、あんたは平気だったの?」
ミコと私は幼稚園からの仲だった。
「平気な訳ない。ミコ以外信じらんない。」
私が言うと、ミコはにっこり笑って、
「じゃあ、明日からまた六人だね。」
ミコはそう言うと走って帰ってしまった。
次の日、何もなかったかのように、私達は六人グループで談笑した。
次は誰と誰が敵対して、誰が誰をはぶるんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます