ミスコン 前編

「あー、あー、マイクテストマイクテスト、おっけい、はぁ……えー、これより我が高校のえりすぐりの美少女の紹介をさせていただきます、視界はこの私、関羽じゃありません関右でございます……この枕詞言う必要あるのか、百合野ぉ!」


 体育館のステージの上で偉丈夫がそんな言葉と共にここにはいない凛子に怒鳴る。

その姿にいつもの姿だなぁーと集まっている生徒達の間に笑いが生まれていた。


「えー、ミスコンの参加条件は本校生徒である事とこの女性を支持する署名を100名分集めた書類をご本人が生徒会に提出、もしくは他薦の場合はその人の写真を生徒会に署名と共に提出して頂く必要があります、今回は4名となっております、それでは一人目からお願いします」


 関右青年のミスコンへの参加条件を満たすのは本当に人気のある女性、見目の麗しい女性であれば割と簡単だろう、この学校の全校生徒数は800名、100という数字はおよそ1割と少し程なのだ。


 さて最初の一人は白いワンピースを着た少女ミスコンの為にだろう着替えなおした物と伺える。その女性の髪色は珍しいブロンド、肌も黄色人種らしからぬ乳白色の肌をしていた。そしてそんな生徒はこの高校には一人しかいないそう菖蒲であった。


「初めましての方は初めまして見知った顔の人にはこんにちは、2年3組の安条菖蒲です、美術部の部長を務めております今日は友人達に勧められてこちらに立たせて頂いております」

「えー、ここで安条さん、何か特技やアピールポイントなどを披露して頂いたりは」

「そうですね…………是非この後の投票お願いしますね、こんな感じでしょうか?」

『おおおおおおお!!!』

 

 関右にアピールを促すと、菖蒲はステージの上で投げキッスをしてこの後に行われるであろう投票での自分を支持してもらえるように微笑みウィンクをしてアピールする、会場の男性は菖蒲のアルビノゆえの神秘的な姿から以外にもあざといアピールに歓喜するのだった。


「はい、ありがとうございました、さて次のエントリーは、どうぞ」

「今年こそは私が一番ね、3年1組 笹川絢ささかわあやよ!」

「お前か、はいそれじゃアピールどうぞ」

「関右、あんた私とわかったら投げ槍ね!」

「うっせぇ! 何がかなしゅうて幼馴染が票が欲しいからって秋も深まったこの時期に水着姿を晒してる姿をみにゃならん!」


 次に来た女性はまさかの水着であった、もう10月も末のこの時期にである。

体育館には暖房設備は無く、それなりに冷え切った中によくもまぁと観客も呆れ顔だちなみに体型に関して言えばよく引き締まったモデル体型で男性陣の中には前屈みになるものもいた。ちなみにこんな絢は関右の小学校からの幼馴染でもある。


「あんたに見せてるわけじゃ、へっくし」

「はぁ、ほんとうに馬鹿だなお前上着使えよ、そんでとっとと着替えてこい」

「はいはい夫婦漫才、夫婦漫才」

「「誰が夫婦じゃ(よ)!」」


 絢が言い返そうとするもやはり寒いのか盛大にくしゃみをするので関右は自分の上着を貸してやるその姿をステージの一番前にいる物が茶化すのを二人の息の合った反論を最後に絢は下がって行けば、更にミスコンは進んでいく。

 

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