文化祭三日目

 今日でとうとう三日目、文化祭も最終日となった今日この日の真心はと言うと。


「真心ちゃーん、どこかしらー、でていらっしゃーい」


 凛子に追われていた、ではその理由はと言うと。


「ねぇ、真心ちゃん、可愛いお洋服も用意したのよ、ミスコンでましょうよぉ」


 自薦、他薦問わず、この文化祭期間中に彼女だという思う人の写真を持って生徒会室へ持ち込んでくださいという企画、まあ、所謂ミスコンであった。

 そして凛子はいつの間にかとっていた真心の写真をエントリーそして最後の体育館でのアピールと結果発表の場に出そうと追いかけていたのだった。

勿論真心はそんな身に覚えのない物に出る義理も無ければ理由もない。

更に言えばそんな目立つ行為をする行為に意欲的ではないのだから。


「いつまで逃げればいいかな、これ……」

「真心ちゃぁん、ねぇ、どこかしらぁ」

「し、シスタの言う通り、ヤバい人だったよぉ」


 ここにきて、シスタの忠告通り、彼女が偏愛が見て取れる同性愛好者だと言う事に真心は気づいた、もう少し早く気づいても良かった場面はあるが。

そんな真心の取った対応は早く、自分の父に電話をしてみるが。


「あ、お、お父さん、私ちょっとヤバいかも、乙女の純血が乙女に取られ」

「現在、留守にしております、御用の際はこの後ピーと」

「そうって、繋がらない―――!!」


 これである、最後の砦現職刑事陥落、真心の父である真路であればこの状況を打破出来るだろうがそれは無慈悲な留守番電話を告げる言葉に打ち砕かれたのであった。


「こうなったら、お手洗いからダンジョンに……」

「みぃ~つけたぁ~」

「ひにゃあああああ!!!」


 こうなれば、どこかのトイレのドアからダンジョンに逃げ込もうと思ったが。

時すでに遅し、真心はとうとう凛子に見つかり、その身柄を補足されたのだ。


「さぁ、お着替えしましょうねぇ~」

「その~、出ないという選択肢は無いのですか?」

「あら? 真心ちゃんの可愛さを全校に知らしめる好機を逃すとでも?」

「私、別にそういうのは……」

「大丈夫、可愛くメイクしてあげるからね、っさ、行きましょ」


 凛子は真心の腕をしっかりと掴みもう離さないと言わんばかりに力を入れる。

それを非力な真心が引き剥がせるという訳もなく、凛子に大人しく連行されていくのだった。


「はい、これを着て頂戴、あ、それとも着させてあげましょうか」

「じ、自分で着れますから! えぇ、こんなの着るのぉ」

「大丈夫、サイズはばっちりだから! そしたらそこに座ってね、メイクするから」

「はぁい」


 生徒会室の奥にある準備室で真心は凛子と二人きりで着替えをさせられ。

言われるがままに椅子に座れば、凛子が手際よくメイクを施していく。

途中途中に肌綺麗ね~だとか、唇柔らかい塞ぎたいわ~と身の危険を感じるも全てのメイクが終わった。


「よし、それじゃ、さっそく行きましょうか、真心ちゃん」

「はぁ、ここまでやったらもうやり切った方がいいよね」


 こうして黒を基調としたレース、フリル、リボンによって飾り立てられたドレスを着こみ薔薇のついたカチューシャを頭につけ編み上げブーツを履き髪を縦に撒かれた所謂ゴシックロリータファッションに身を包まれた真心が爆誕するのであった。



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