菖蒲の出し物
真心は営業妨害になりかけていた凛子と行動を共にする事になったわけだが。
周囲からかなり目立っていた。
「真心ちゃん、何か食べたいものはある? お姉さんが奢るわよ」
「ほら、腕を組んで歩きましょ、あまりスペースをとったらいけないもの」
「あのー、周りからの目線が痛い通り越して辛いので」
「いいじゃない、もっとラブラブっぷりを見せていきましょう」
と、このように凛子は真心を徹底的に構いまくるわけでその真心本人がうんざりといった表情をしていた、そしてそんな中にやってくる救世主が……
「また百合野か、かかわらんとこ」
「生徒会長としては優秀なのに、なんであれなのかね」
「今日も凛子先輩格好いい、一緒にいる子が羨ましいなー」
「百合野も懲りないねぇ、構い過ぎて嫌われたってのに」
いなかった、というのも彼女を知る男子生徒はその癖を知ってるが為に無視を決め込むのが楽、そして後輩や同級生の女子生徒からしたら、格好いい尊敬する生徒会長であり、毎度の如く猫可愛がりをしてうんざりされて逃げられてるのを見ているのだから、苦笑いをするで留まっていた。
「凛子さん、菖蒲先輩のクラスに着きました、菖蒲せんぱーい」
「へぇ、ストップモーションアニメだなんて、珍しいわね」
「あんたら安条の知り合い? 安条なら宣伝の為に校内でビラ配ってるよ」
真心はそんな猫可愛がりにうんざりしながらも何とか菖蒲たちの出し物がしているクラスへと到着、しかしそこには菖蒲の姿はなく受付の一人の女子生徒がその所在を教えてくれる、なんでも菖蒲の当日の当番は午後からのビラ配りだそうだ。
というのも所謂アルビノの菖蒲はかなりの確率で人目を惹く。だからこそだろう自分でビラ配りに立候補したそうな。
「嬉々としてチラシ配りにいってさ。本当にいい奴だよ」
「菖蒲先輩だからね」
「おまけにこんな慕ってくれる可愛い後輩がいるとは、安条はあの容姿だから中学の頃や一年の頃は友達出来なかったらしくてね、丁寧で礼儀正しくていい子なのにね」
「分かります、本当優しい先輩なんですよ、私とお友達も良くして貰ってるんです」
そんな風に受付の女子生徒と菖蒲の良い所を褒め合っていれば、菖蒲が二人の下に戻ってくる、手には何も持っておらずどうやらビラを全て配り終わったようだ。
「お疲れ様、立ち話しにきたわけじゃないよな、次の上映は10分後見てくかい?」
「勿論ですよ、どんな映画かな?」
「それは見てからのお楽しみさ、生徒会長様も見ていきますか?」
「ええ、折角だし見ていくわ、今日日聞かない技術で撮った物気になるわ」
「それじゃ私がご案内しますね、どうぞ真心さん、百合野先輩」
菖蒲と少しだけ話した後に女子生徒が真心達に向き直り、次の上映の時間が近いと言う事で受付の仕事を始め真心に入るかを尋ねる。
真心ががま口サイフを開こうとするが、すぐに凛子がそれを止め、二人分のパンフレットを買ってしまう、ちなみにパンフレットを買ったら、今後それを受付に見せれば何度でも身に来れる仕様だ。菖蒲が二人を教室の中へと誘う。
内容については真心も凛子も満足いく素晴らしい作品であったようで、上映が終わって出てきた二人はとてもいい顔をしていたのであった。
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