夏休み最後の勝負
「夏休みももう後1週間かー」
「あっという間だったねー」
「今年の夏はとても楽しい事ばかりでした」
「まこさまたち、さみしそう?」
夏の夜、真心達の島のサンダーバードが住まう湖の畔で4人の少女がキャンプをしていた、真心、空、菖蒲そしてアンナの4人だ。
現在は焚火にマシュマロを当てて談笑中、夏休みももうすぐ終わってしまうという事もあり、夏休みにやり残した事をと思い立ち、こうしてキャンプが計画された。
「どうです? ダンジョンバトルの方は」
「むふふー、8000位台にまでばしっと上り詰めましたー」
「結構、さくさくいけちゃったんですよね」
「わたしのさんちゃん、とてもつよい」
「ドラゴンさんの真の姿もやばいよ、格好いいし強いの」
「更に言えば、ゴブリン達も現代兵器を思い切り駆使してますからね」
「空ちゃんが持って来たミリタリー雑誌やら科学誌にがっつりハマってたもんねぇ」
「私もご一緒したかったですね」
キャンプの話題は主にダンジョンバトルについてでが殆どだ。
真心の現在の順位は一気に上り詰め8000台まで上げる事に成功した。
というのも、防衛なら、アンナが操るサンダーバードやドラゴンが人間から姿を変えたドラゴン状態で無双状態、攻略戦においてもゴブリンはこの夏の間に現代兵器の一部をマジックウッドや魔法など様々な道具を用い類似したものを創り上げていた。
レベル以上の強さを誇り、ダンジョンを攻略もとい蹂躙していくのだ。
「といっても、レベル5が出たりしたら負けるからなぁ、虎徹も頑張ってるけどゴブリンじゃ限界が近いかも」
「そうなると、また別のマモノをお作りになります?」
「夏はとりあえずゴブリン達で頑張ってみます、秋からは学校も始まりますししばらくダンジョンバトルはお休みして、島の開拓や新しいマモノを増やしたりですね」
「さんちゃんの、おともだち、つくる?」
「レベル5はちょーっと無理かな、作るならレベル3になるかも」
「おともだち、なれるかな?」
「アンナちゃんだったら大丈夫だよ、あ~可愛い、ちょっとぎゅってしてもいい」
「いいよ、まこさま」
「はぁ~、殺伐なダンジョンバトルの中の癒しだよ、アンナちゃんは」
真心の荒んだ心がアンナの純粋な心に触れ癒されていく、というのも真心はここ最近8000台まで上り詰めた物のレベル5によって攻略などでは負け続けを余儀なくされている。ドラゴンが何とか最初の一体と相打ちなるも2体目のレベル5が出てきて壊滅し降参のパターンがここ最近の常である。
勿論、ドラゴンだけで挑んではいない、虎徹と現代兵器を持つゴブリンが戦う。
しかし、それで対応できるのは精々がレベル3までなのだ。
ゴブリン自体はレベル2かつ小さな体躯であるが為、現代兵器を操るのは正直な所不得手なのであった。それゆえ、真心はゴブリン達に限界を感じていた。
「真心様、ご歓談中に申し訳ございません、ダンジョンバトルの申し込みが」
「ええ~夜なのに、失礼な人もいたなぁ、もしもし」
『もしもし……やっぱり安達だったか、それに安住もいるな』
「も、もしかして貴方」
『初めましてではないな、俺は伊藤俊介、ダンジョントレーナー、勝負を挑みたい』
真心達が楽しいお喋りの最中にシスタが割り込んでくる、ちなみにシスタはシスタ達で虎徹の城で酒盛りの最中であったりする、真路がとうとう休めるとその祝い酒の最中だったらしい、その為か、若干シスタも苛立だっていた。
さて、そんな苛立つ彼女らのモニターの前には学生服の下にパーカーを着た少年。
真心達のクラスメイトである俊介の姿が映っていた。
「まさか、伊藤君もダンジョントレーナーだったなんてね」
『俺は薄々感づいていたがな。あの果物を喰った後俺の魔力が上がってたからもしかしてってな、そんで夏休み最後にと思ってな』
「いいよ、何で勝負するの?」
『応、勝負の内容それは』
「それは」
『…………料理だ』
俊介が言い放った最後の勝負、それは不良少年に見える彼の口から出るには何とも家庭的ともいえる勝負内容なのであった。
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