そうだ、宿題をバトルに使おう
さて、数との戦いとの翌日、真心はブックを見て悩んでいた。
そして、目の前に広がる夏休みの宿題を同時に見ながら悩んでいた。
そして、意を決したかのように開いたブックに並ぶ名前の一つを選択し連絡を取る。
「……もしもし、安達真心です」
『……
「初めまして、お名前は知ってるけどね学年2位さん」
『もしかして貴方、同じ高校の生徒?』
「そうだよー早速だけどダンジョンバトルをしましょう」
『内容次第です』
「ふっふっふ、内容、それは……夏休みの宿題どっちが早く終わらせるか! だよ」
「へ?」
真心がダンジョンバトルを挑んだ相手は同じ学校に通う高校生であった。
おかっぱ頭で没個性的な顔の女性だ、そんな彼女は学年でも2位と高い成績を誇る頭脳の持ち主であった、さてそんな彼女に挑んだのは何と自分の宿題がどっちが先に終わらせれるかの勝負であった。その勝負内容に春香は間抜けな声を出してしまう。
「ルールは今現在残っている宿題を全て終わらせそのタイムを競う、勿論全問正解であるのが前提だよ、答え合わせは補佐役に、どうかな?」
『えっと、いいけど私は後、読書感想文だけだよ』
学年2位と言う事もあり彼女は既に夏休みも半分が過ぎた今、その宿題のほぼすべてを終わらせていた、確実な勝利を手にする事が出来るであろう。
ただお人好しの面があるのか、真心に暗にそれを伝えるのであった。
「いいのいいの、あ、私が勝ったら魔力を貰うね」
『……そっか、じゃぁ私が勝ったらドラゴンを……』
「おっと選んでも、妾はお主の為には働かぬぞ、むしろダンジョンを嬉々として壊すかもしれんの、妾が使えるは愛する主殿ただひとりじゃ」
『じゃ、じゃぁサンダーバードを』
「後で泣きを見るかもと警告しておくね、サンダーバードはアンナっていう異世界人にしか懐いてないの命令を無視しちゃうよ、私でさえ制御できない」
『デュラハンで』
「おおっと? あたしっすか、でもなーあたしも命令無視して、殺されるまでおたくのマモノ全部くびり殺しちゃうかもっすねー」
『サムライゴブリン』
「拙者、敵の軍門に下るのであれば腹を切りそれを真心様への最後の恩義とする覚悟でござる」
『ケットシー』
「吾輩も他の皆と大体同じだニャ、何かしらダンジョンを滅茶苦茶にするのニャ」
『最悪……魔力でいいよ』
一同に会するマモノがそろいもそろって脅しやら何やらをかければ、モニター越しの春香が小さく悪態をつき、他のマモノも同じだろうと妥協するのであった。
「あ、あはは、なんか、御免なさい、それじゃスタート」
それを申し訳なく思いながら掛け声とともに時間の計測が始まる、真心はこの勝負は負けてもいいと思っている、目的は勝つ事ではなく宿題を終わらせる事だ、何せ宿題が終わるまではダンジョンバトルが継続してる状態、すなわち向こうの世界との時間軸が別なのだ。なのでゆっくりじっくり慎重かつ確実に宿題を進めれるのだ。
目の前に広がった初日からほぼ手付かずの宿題をちまちまとたまに畳に寝っ転がったりしてのんびりと進めていく。
「真心さんも面白い事を考えましたねー」
「ちょっとずるっこかもしれないけどね」
「いいのいいの、魔力は大分減っちゃうけど、フェアリーからまた譲渡してもらえばいいしね」
このバトルには空と菖蒲も便乗して残った宿題を片付けていた。
別段真心としては魔力が奪われる程度どうとでもない、またフェアリーに助けて貰えばすぐにリカバリーは出来ると高をくくっていた
「真心様、このような形でダンジョンバトルを使うのは少々関心しないというか」
「ちょっとだけ、ちょっとだけだからさ」
「はぁ、勉強をする意思があるのを喜ぶべきか、このような方法で横着するのを悲しむべきか、私には理解出来かねます」
この行動にシスタは少々複雑な面持ちで真心の宿題を見てやる事に。
宿題が終わったのはこのバトルが始まって、一週間後の事であった。
最後には相手である春香にまで勉強を見て貰い、終わらすのであった。
「全問正解でございますね、終わりです」
「こっちはとっくに終わってるから安達さんの負けだね」
「だねー、残念残念」
「残念って感じには見えないね安達さんの目的は宿題を終わらす事だったんでしょ」
「まぁね、そういえば岡さんはランキングはどのくらいなの?」
「負け込んでてまだ圏外5勝しか出来てないの」
「私は10勝、ギリギリランキング内」
「へぇ、確かにレベル5が二体もいれば、楽勝そうだものね、それ以外のマモノ達も忠誠心も高いし、強そうだったし」
「えへへ~」
「私も負けてられないね、次はこういうのじゃなくてもっと普通に戦いたいわね、それじゃ」
「ばいば~い」
こうして、真心は二連敗を喫する、未だランキングに乗ってからの勝利は無い。
だが、真心は別段焦りも無い、まぁさすがに次は勝たないとという気持ちは持ち始めたが、夏休みはまた少しずつ進んでいく。
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