旅行終了

 二日目の箱根の夜が過ぎ去っていき、朝。


「真心ちゃん、暑いから離れて」

「むにむに……」

「お願い、離れて……」


 真心に抱き着かれて空は動けなくなっていた。

昨日も披露した抱き着き癖は昨夜は空を標的にしたようだ。なんとか引き剥がそうと押したりするもの寝ていながらその小さな体の何処にあるのかというパワーで離す事はなかった。


「二人ともー、今日は帰る日ですよ、お布団片づけて朝ご飯にいきましょうね」

「あと5ふん~」

「すみません、剥がしたら後で行くので菖蒲先輩だけでも」

「わかったわ、大変ね空さん」

「はい、すぐに行きますので、ねぇ離れてよ真心ちゃん」

「後10ふん~」

「さっきより伸びてる!?」


 真心は小学生が使うようなあと何分を続けながら空にひっついて離れないが為、空は菖蒲に先にいくように行って、自分はこれを引き剥がすのに苦心する。

 

 そうこうして朝が過ぎていき全員がしっかり目を覚ました朝の旅館の部屋。

三人が着替えを済まし、歯を磨き、バッグに荷物を詰め込んでいく。

そうした後はロビーに行って、郵送サービスで家に送って貰う。

これで後はお土産を物色し家まで帰るだけだ。


「そういう訳で、来ました箱根湯本温泉街」

「色んなお店があるね、お土産どうしようかな」

「少し見て回りながらゆっくり考えましょうか」

「「はーい」」


 箱根湯本駅前の温泉街、箱根でお土産を買うなら見ていくべき場所だ。

そんな温泉街で真心達はと言うと。


「これお土産にしたいなー」

「いや、持って帰る頃にはぐずぐずだよ」


 箱根の名水で作られたお豆腐を食べ。


「食べ歩きしやすいしリーズナブルなお値段だった」

「ホクホク感とシャリシャリ触感がいいね」


 食べ歩きに適したたまねぎ棒を食べ。


「もちもちした触感が最高だなぁ」

「これをお土産にするのもいいかもしれないですね」


 箱根名物の湯もちを食べ


「冷たくてとても美味しいですね」

「これをお土産にするのは」

「溶けちゃうでしょ」


 珈琲アイスクリームを食べ。


 と、このように色々な店に入っては食べ歩きをするを繰り返していく。

勿論これ以外にも箱根には温泉街ならではの饅頭、卵とそれらも豊富。

これらを皆で食べるべくお土産として買い付けていく。

そうして食べ歩き続けて満腹になれば美術品を見始める。


「綺麗な模様だよね」

「お揃いで何か買っていく?」

「そうね、ボールペンとかあるみたいですよ」

「あ、からくり箱、虎徹達に見せたら同じの作りそうじゃない?」

「むしろ、そんなのよりもっと凄いのを作ってやるでござるとかいいそう」


 箱根と言えば寄木細工が有名な話だろう、200年も続く伝統工芸品だ。

箱根駅伝の往路優勝チームに渡されるトロフィーも寄木細工だ。

作り方も複雑で、ここで説明すれば冗長というものだ。

ここで強く主張したいことは長く愛されるとても素晴らしい工芸品だという事だ。

これもお土産として真心達はいくらか買い付ける。

両手がお土産で埋まる頃には日が暮れてしまっていた。

こうなると、帰りは夜になってしまうのでは、と思うだろう。


「さーて、どっか人目につかないトイレのドアを使って、帰ろうか」

「帰りは簡単よね、ダンジョンを経由してしまえばいいんだものね」


 そう、帰りは簡単なのである、現在真心達がいるのは箱根湯本の温泉街の一つにある公衆トイレ、入っていく姿を見られないように慎重に入り。後はダンジョンに繋げてしまえば。ただいまとダンジョンに帰れるのであった。

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