箱根の温泉

 三人が入った部屋は和室で会った、床の間がありそこには季節の花の生け花に加え更に掛け軸もかけておりその部屋に高級さを出させていた。

隅には郵送で送っていた三人の荷物が置いてあり、着替えやその手の物は事足りる。

 真ん中に大きな机があり、そこには急須とポットとお茶の葉の入った缶。

そして箱根名物の箱根ラスクの入った盆があった。

窓から外が伺えるが今は夜と言う事もあり、真っ暗だ、そうじゃなければ箱根の綺麗な山々が見える事だろう。


「なんか、本当に凄い所に泊まっちゃったね」

「う、うん、とりあえず、お風呂行く? 露天風呂あるって言ってたよね」

「少し休んでからね、お茶を入れるからラスク食べてみましょう」

「あ、こっち、浴衣あったよ着てみようよ、えっと大人用二つに……子供用」


 子供用の一言で二人が真心を反射的に見てしまう。神様が真心の身長の事をホテルの人に伝えておいてくれたのだろう、一つだけサイズの小さい子供用を置いてくれたのだ。真心は不服であったがそれは、案の定ぴったりであった。


「むぅ~、もう16なのに、子供用なんて、子供用なんて」

「き、機嫌なおしてよ真心ちゃん」

「そうですよ、ホテルの人も親切でしたのでしょう、それに大人用だとサイズが合わなくて着れませんよ」

「そうだけどさー、二人はいいよねー」

「私はそこまで大きくはないと思うのですが」

「菖蒲先輩は背が高くて足も長いじゃないですかー」


 さて、1時間ほどの休憩を済ませてから三人は今、お風呂の湯舟に半身だけ浸かり旅の疲れを癒していた、なんでも半身浴で体を慣らすのが良いのだと。

 さて、菖蒲の胸だが平均やや下といった所。しかし背の高さと足の長さと女性的魅力は十分な程である。真心? …………ロリコンには需要あるんじゃないかな。

 

「あの~、そろそろ髪を洗いたいのですが、手伝っていただけませんか? その自宅のお風呂ならいざ知らず、こう広い温泉だと、目が見えにくいので」

「あ、じゃあ洗ってあげますよ、空ちゃんもどう?」

「うんいいよ」


 菖蒲はアルビノと言う事もあり視力が低く眼鏡を外してしまうと、前がよく見えない。

勝手の知れた場所ならば大丈夫だろうが、そうでない処では手を引いて貰わなければ一歩動くのさえ苦労する程、温泉へかけ湯をして入るまでも真心に手を引かれて何とか辿り着いた程なのだ。


「菖蒲先輩の髪の毛綺麗ですよねー、真っ白で透き通った感じで」

「そうですか? 真心さん達の黒い髪の毛も素敵ですよ」

「ありがとうございます」


 菖蒲の髪はアルビノであるがゆえにプラチナブロンドという日本人には無い髪色だまた肌も弱くボディソープなども肌に優しいタイプの物を持ってきてそれを使っているほどだ。だからだろう、真心や空の普通の髪の色に時折憧れるのだそうだ。

そうして三人で髪を洗い終えたら、再び温泉に入る。

 そして再び上がり次は体を一緒に洗い合う、何でも髪と体を洗うタイミングはずらすのがいいとか。そして再びお風呂で温まった後、菖蒲だけ体を少しシャワーで洗い流してから、脱衣所へ上がる、肌が特別弱い等がなければ温泉成分を流さない為にもお湯は極力流さないのがいいらしい。


 と、こんな感じに真心達は温泉を堪能したのであった。

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