箱根の料理と夜

 真心達三人が温泉から部屋に戻って、数分が経った頃、仲居の一人が食事はどうするかを尋ねに来る、すぐに食べれるなら、お願いしますと伝えれば、やはり数分後に食事が運ばれてくる、箱根は山の中と言う事もあり、山の幸が食事の大半を占めていた、四季折々の今が旬の食事を真心達は楽しむ。


「うまいぃ~、本当にこれタダでいいのかな?」

「本当、美味しいわね、女神さまに会ったらまたもう一度御礼言わないとですね」

「真心ちゃん、この天ぷらたべる?」

「わ~い、ありがと~」


 さりげなく、自分が嫌いな野菜によって作られた天ぷらを真心に与える、疑う事もせずに真心はそれを幸せそうに食べるのであった。


「はぁ~、綺麗な温泉、美味しい食事、もう最高」

「こんな贅沢したら戻れないかもですね」

「確かに、明日はどうします? 一日ありますけど」

「今日回り切れなかった美術館巡りとか?」

「……あ、私、芦ノ湖いきたーい」

「あ、私もさんせーい」

「あらそう、じゃぁ明日は芦ノ湖まで行ってみましょうか」

「「はーい」」


 食事を終え、仲居がそれを片付けたら三人は布団をしき横になりリラックス状態で明日は何処に行こうかと相談する。菖蒲は美術館巡りをしたいと言うが、正直な所二人とも食傷気味であった、その為、真心が別の意見を出せば空もそれに乗った。

こうして明日の旅の計画もふわっと片付いたので、就寝なわけだが。


「あ、電気夕方にして貰えます?」

「あら、わかったわ、これでいいかしら?」

「ありがとうございます」


 電気を夕方、まあ常夜灯をつけている状態にして欲しいと真心が電気を消そうとする菖蒲にストップをかけ、菖蒲も素直にそれに従う、そうして全員寝るわけだが。


「……右半身が熱いのですけど」

「…………うぅ~」

「あー、前に家にお泊りに来た時もあったんですけど、寝る時は抱っこちゃんというか甘えたがっちゃうんです、真心ちゃん」

「そうなの、よしよし、真心さん、大丈夫ですからね」

「まま……」

「可愛いわね、真心さん、守りたくなっちゃう、でもおかあさんはなぁ」

「ですよねー、大丈夫です私も呼ばれた事あるので」


 真心は誰か人がいる状態で寝る時はこうして誰かに抱き着いてしまう癖がある。

過去何度も空はこれを体験している、そして何度も母親呼ばわりされたことも。

そんな夜も更けていき、朝になる、くっくどぅーどぅるどぅー


「むにゃ……あれ? なんで菖蒲さんのお布団に」

「おはようございます、真心さん、よく眠れましたか?」

「あ、もしかしてまた……ごめんなさい」

「気にしてませんよ、むしろ可愛いかったですよ」

「ううう……」


 目覚めた真心は羞恥で顔を真っ赤にするのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る