猫と徹の企て

「フェアリーをですか……その別のには?」


 真心とて、フェアリーを失うのは痛い、別のにするよう交渉するが。


「いやよ、この子が気に入ったんだもの、でも、そうね、貴方が一晩私と付き合ってくれるっていうなら、考えてあげようかしら?」

「一晩付き合う? 何に?」

「何って、それは勿論……うふふ」

 

 凛子は少し顔を赤らめ妖しく微笑む、真心はこれ以上は自身の身に関わりそうだとこの話を切り上げ、フェアリーを賭けに出す事を条件に勝負を受けて立つ事にする。


「日時はどうしますか?」

「そうね、明日もまだお休みでしょう、明日の10時からでどうかしら」

「ちょっと考えさせていただいても?」

「ええ、構わないわよ」

「シスタ、すぐに虎徹の所に行って安住城の建築状況を、それとケットシーにも今の野菜の育成状況と収穫状況も」

「かしこまりました」


 真心は液晶から離れてからシスタに指示を飛ばす、数分後戻ってきたシスタが言うには城は改築は一通り終わっており野菜の育成収穫などは今からゴーレムを増員ゴブリンも手伝えば今日の深夜には終わらせれるとの事、つまるところ準備は万端だ。


「おまたせしました、お時間それで問題ありません」

「わかったわ楽しみにしてるわね、個人的にも貴方や美術部の面々はとても気になるの、今度学校でお話をしましょう」

「放課後は美術室で活動してるのでお時間がありましたらいつでもどうぞ」

「そう、それなら今度にでもお邪魔しようかしら、それじゃぁ、私も準備があるから失礼するわね」


 それだけ言うと、凛子の写っていた液晶はそこから消えてしまう。なんだか不思議な人だったと真心はそんな感想を抱く、綺麗な人だったが自分を見る目が何かと熱を帯びていたような、そうあれは真心が昆虫標本を愛おし気に眺める目と同じだった。


「あの凛子という女性、同性愛好者であると思われます、気を付けた方がよろしいかと」

「そうなの?」

「そうでなければ、真心様をあのような目で見るとは思えません」

「まぁいいや、さーてと、皆を呼んで来ないとかな」

「真心様! 虎徹が参ったでござる!」

「ケットシーもだニャ」

「真心さん、ダンジョンバトルの申し込みがあったって聞いたけど」

「真心ちゃん、またなの?」

 

 シスタは真心に忠告するがよくわかっていない感じ、まずは全員呼んで今回の作戦を考えようと思っていた矢先にエルザ以外のダンジョンの主要メンバーが集まる。


「皆、早いね、うん、ダンジョンバトル、今回も前回と同じ防衛戦争」

「そっか、うん、でも安住城があるし今回も大丈夫だよね!」

「安住城、あの城よね、1か月であそこまでの規模が出来るって凄いわよね」

「うむ、新生安住城の初陣でござるな、して、その此度の戦で御座るが」

「吾輩と盟友虎徹に任せて貰えるかニャ」


 ケットシーと虎徹は真心にこの戦を任せて欲しいと嘆願する。

敵が扱うマモノの種類が何かを教えて貰えれば出来なくはないと言うのだ

真心は二人に凛子のブックで見たマモノについてを説明すれば。

二人はいくつか言葉を交わせば、勝てるであろうと真心に告げるのだった。

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