菖蒲とダンジョンへ
3人が入ったのは駅前のトイレであった。トイレには誰もいないのを確認して。
真心はここなら大丈夫だろうと、早速ダンジョンへの扉を開こうとする。
「真心さん? ここに何があるのかしら?」
「まぁ、見ててくださいよ、開け―ゴマ」
菖蒲にそういいながら、トイレのドアを開けばそこにはトイレは無く代わりに青い渦が巻く不思議な空間が出来ていた。菖蒲が驚くのをよそに真心がその手を引き入っていく。
「ただいまー、シスタ」
「おかえりなさいませ、真心様、そちらの御方は?」
「学校の先輩で菖蒲さんっていうの」
「左様でございますか、初めまして菖蒲様、私、ダンジョントレーナー真心様の補佐役でシスタと申します」
「ダンジョントレーナー? 補佐役? えっと何の事かしら?」
「真心ちゃん、急に言われても分からないよ、とりあえず荷物を隅に寄せて、すみません菖蒲先輩、真心ちゃんっていつも急で」
真心がシスタに挨拶する間も菖蒲は何が起きたのか分からないと困惑するしかできなかった、そこに空も二人の横から先ほどのドアを通じてダンジョンに入り、菖蒲に一言謝っていく
「え、ええ、危険は無さそうだし平気よ、説明してもらえるわよね? 真心さん」
「勿論です、どうぞお席に、シスタお茶をお願い」
「かしこまりました、エルザ様から今日はライチが来ておりますよ、いつものようにちゃぶ台の上でございます」
「ありがと、いただきます、二人もどうぞ、説明は食べながらしても平気ですよね」
「ええ、構わないわ、ライチいただくわね……あら、美味しいわね」
「頂きまーす、うん、今日のも美味しいね」
「エルザの自慢の果物だからね、それじゃ説明ですけど…………」
ライチを食べながら真心は菖蒲にこれまでの事を説明していく。
最初は驚いていたが徐々に落ち着きを取り戻していく。
「事実は小説より奇なりねぇ」
「そうですね結構楽しいですよ、ダンジョン作り」
「真心様、空様、菖蒲様、お茶で御座います」
「ありがとうございます、えっと、シスタさん?」
「はい、如何様にもお呼びください」
話が全て終わるとシスタがお茶を人数分ちゃぶ台の上に置く。
全員でお茶をすすり一息ついたところで、真心は菖蒲にも空と同じように一緒にダンジョンを作ってみないかと誘えば、無理のない範囲でお手伝いすると心地よく引き受けてくれた、とりあえずは今日の荷物の片づけ、菖蒲にダンジョンへのワープ能力を与える、そしてダンジョンに荷物を預けてもう少し外で遊ぶことに。
時間になったら、ここに戻り持って自宅に帰ればいいのだ。
そうして前回ダンジョンに隠しておいた金一封を使い、大いに遊ぶのだった。
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