美術部の休日

 休日がやってきた真心と空は駅前で二人で人を待っていた。

休日に菖蒲先輩と遊びの約束をしてこうして一番大きな町の駅にいるのだ。

その菖蒲先輩はまだ来ていないようだが。


 しばらく待っていれば、真心の携帯が鳴る、携帯には菖蒲の名前があった。

真心は通話ボタンを押して菖蒲と通話を始めると。


「おはようございます先輩、今どこですか?」

「えっと、南門にいるんですが、真心さんはどこにいます?」

「あ、じゃあ、私達がそっちにいきますね、空ちゃんも一緒なんで」

「とても助かります、じゃあここで待ってますのでお願いします」


 菖蒲もついたようだが、真心とは別の出口から外に出てしまったようなので。

そちらに二人で向かえば、菖蒲の姿は人目を惹くものであるが為、すぐに見つかる。

日を避ける為なのだろう、長袖にロングスカート、キャスケットを被り色付きの眼鏡をかけると日差しをなるべく避ける装いだ。


 ちなみに真心はパーカーにスカートとカジュアルなスタイル。

中学の頃から背が変わってないがゆえ、実は高校に入ってから服は買ってなかったりする。空はロング丈で紺のワンピース姿、太って見えない様にウェストにベルトを巻いたり。なるべく白ではなく暗い色を選ぶなどと胸が大きいがゆえの悩みに苦心しながら選ぶので結構大変だったりする。


「どこいきましょっかー」

「私は二人の行きたいところでいいですよ」

「その、お洋服見に行きたいかなって」

「ふーん……」

「また、その、胸が大きくなって、ブラが」

「ええい、うらやまけしからん!」

「人前ではやめてぇ」

「それじゃ最初はお洋服屋さんいきましょう」

「はーい」


 空はまだまだ成長しているようで、真心はそれを羨ましがり胸を揉もうとするが。

人前ではさすがにやめて欲しいと空が胸を手でガードする。

その姿に菖蒲が楽しそうに眺めながら行き先を決めるのだった。


 数時間後、洋服などの買い物を済ませると、三人は近くのファミレスに入り昼食を取る事にしたのだった。


「色々買ったねー、今日はもうご飯食べたら帰ろうか?」

「そうだね、菖蒲先輩は何食べます?」

「そうね、サラダとピザをお願いします」

「空ちゃんは?」

「私はサラダとドリアで」

「おっけい、それじゃ私はリブステーキにライス大盛して、季節の限定パフェも食べようかな」


 二人の注文を聞き、更にその身体の何処に入るのかといわんばかりの量を真心が頼めば三人で話をしていればその料理はほどなくしてくる。


「この後は荷物を持って帰りましょ」

「ん~もうちょっと遊びに行きたいなー」

「そうはいっても、この荷物で遊びに行くのは」

「……あの能力使おっか」

「能力?」

「菖蒲先輩、後で面白いもの見せてあげますね」


 真心は悪戯を計画する子供のように笑っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る