美術部の目的
「おお~、結構綺麗な所なんですね」
「美術室ってもっと汚れてる気がしてました」
「前の美術部も生徒さんも綺麗に使ってくれてますから」
休日が終わった最初の学校その放課後、3人は美術室に入り、その部屋の様子を見ていた、大きな机が6つほど並ぶ以外に他の教室と遜色の無い部屋である。
空は絵の具とかで床や机が汚れてるのではとそんなイメージもあったが。
後片付けも掃除もしっかりと行われており、清潔さを残していた。
「しかし、
「うん、満面の笑みで美術室のカギだぞ~って」
「あの先生、私の担任で、いつも気にかけてくれるんです、なんでも『やりたい事が教師のせいで出来ない奴の味方がしたいんだ』って理由で教師になったんですって」
「おお~、熱血先生だね」
美術部顧問の名前は猿渡と言う、彼にも彼の矜持や信念があり、それに基づいたことで結果がこのような姿で現れているのである。
「それで、美術室も貸して貰えるようになりましたけど、美術部ってどんな活動してるんです?」
「そうね、この前言った、高校生国際美術展の出展をするのは各自自由、するなら猿渡先生に各種書類を貰うように、私は今年も参加するわよ」
「ちょっと厳しいかな、応募締め切り5月末だし、何か作るには時間が無い」
「それじゃ、私と真心ちゃんは参加しないでいっか?」
「菖蒲先輩は何の作品で参加するんですか? この前の黒豹ですか?」
「そうね、もう少し手直ししたら、郵送する予定よ」
真心と空は礼の美術展に出展できるような作品はないので、これは断念。
菖蒲は今も作成の最中である黒豹の絵を仕上げ出展する予定だとか。
「それ以外だと何か活動ってあるんですか?」
「そうねぇ、個人で他のコンクールに出してた先輩もいたり、それと1学期終わってからは生徒会から文化祭のポスターとか頼まれたり、普通にお喋りだけって日も」
「お喋りだけって、自由な部活なんですね」
「うん、何か絵が描きたかったら、画材はあるから幾らでも貸すよ」
「そういえば猿渡先生は顧問ですけどいないんですね」
「週に数回は顔出してくれるわよ、絵は素人だけど、知り合いが絵描きさんで色々教えて貰ってるそうよ」
「ほへー」
「まぁ、折角だし何か描こうかな、絵の具ありますー?」
「絵の具使うならジャージに御着替えしてね」
「りょうかーい」
空もスケッチブックを取り出し何かを描こうと決めて、真心のおやつの蜜柑を借りてそれを描くことにした、似顔絵よりかは独創的な絵にはならなかった。
真心は着替えて早速一つ画用紙に絵の具を塗るのだった。
さすがに1日では完成せず、この日は書きかけで終わった。
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