第28話 王都への帰路

 次の日、起きて朝ご飯を食べて、ガウに全身に薬を塗って歩き始める。

 昼過ぎになり、やっと王都の門に到着した。


 門をくぐろうとすると、衛兵が少し慌てた様子で飛んできた。


「どうした? ちなみに俺はルードヴィヒという冒険者だ」


 そう言って、俺はどや顔で冒険者カードを提示した。


「ああ、うん。昨日出ていったやつだな、覚えているよ」

「それは光栄なことだ」


 Fランク冒険者のことを覚えているとは、衛兵は記憶力が良いらしい。


「そんなことより、その……魔物は?」

「魔狼のガウだ」

「魔狼? 冒険者カードには書いてないが……」


 従魔として登録すると、冒険者カードに刻まれるのだ。


「まだ登録はすんでいないんだ。昨日従魔にしたところだからな」


 俺がそう言うと、衛兵が警戒の目でガウを見る。


「……本当に魔狼なのか? 大きすぎるが……、それに毛がほとんど生えてないが……」


 ガウが特別大きな魔狼で、身体に毛が生えていないので、衛兵はそんなことを言う。

 冒険者ギルドのチェックが入っていない魔獣ということで、警戒を強めたのだろう。

 しかも俺は新人のFランク冒険者なのだ。

 信用度が低いのは仕方がない。


「俺をかばって、大きな火傷をしてしまったんだ」

「昨日従魔にしたと言っていただろう? いつ火傷したんだ?」


 俺はやけどを治療したことを説明した。


「む? 君は薬師なのか? いや、毛を失うような火傷をすぐに治すなど薬師にも無理だが」

「俺は薬師ではなく魔導師だが、魔法薬の製作が得意なんだ」


 錬金術というと胡散臭がられるので、魔法薬と言っておく。


「確かに冒険者ギルドのカードには魔導師と書かれているな。だが……」

「魔法薬は知らないか?」

「ああ。聞いたことがない」

「術者自体少ないからな。魔法はいろんなことができるんだよ。魔法薬の効果は非常に高い」

「そう言うものなのか」

「信用できないかもしれないが、昨日大やけどを負った魔狼がこの状態だ」

「ふむ?」


 衛兵は半信半疑と言った様子だ。


「病気でも怪我でも、何かあれば冒険者ギルドに来てルードヴィヒを呼んでくれ」

「ああ」

「宣伝のためだ。初回は無料でいい。二回目からも普通の薬ならば十ゴルド以下で作ろう」

「それは安いな」

「もちろん珍しい症例などなら、高くなることもあるが、まずは相談してくれ」

「相談料は?」

「無料でいい。薬師が匙を投げた患者でもかまわない。衛兵仲間にも言っておいてくれ」

「わかった。一応伝えておこう」


 衛兵はまだ信じていなさそうだが、完全に疑っているというわけでもなさそうだ。

 今はそれで充分だ。少しずつ俺の薬の評判を上げて行けばいいだろう。

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