秋本夢美――①

 このまま黙ってさえいれば、あの遺書に書かれたメッセージは一生あたし一人のものになる。


 とは言え、お姉ちゃんを死に追い詰めた原因は気になる。


 家の中には問題なんてなかったしバイトとかだってしてなかったから、あるとすればやっぱり学校。


 先生たちの調査では自殺に繋がるような問題は一切なかったって結論に落ちつこうとしているけど、あんなの全然当てにはできない。


 学校なんて、極力面倒事を浮き彫りにせず事態を収束させたいと思っているのが本音だろうし、アンケート調査も信憑性はゼロに等しいような気がする。


 もしお姉ちゃんの死に関わる誰かが校内にいても、知らないと一文字書けばそれで白を切っていられるのだから。


 ――あたしが調べないと。警察でもお母さんでも学校でもない。この世でお姉ちゃんを一番理解していたのはあたし。あたしが、お姉ちゃんが抱えてた何かをつきとめてみせる。そして……。


 場合によっては、報いを受けてもらわなければ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る