秋本夢美――①
正直、死んだお姉ちゃんを発見したときどうしてあれほど冷静でいられたのか自分でもわからない。
本当なら、すぐにでも取り乱して下にいたお母さんを呼んだりしててもおかしくなかったのに。
あのときは、何故か頭の中が何か見えないものにコントロールされていたかのように冷静で、落ち着いていられた。
だからこそ、あたしは遺書を独り占めすることを簡単に、こうする以外にあり得ないというような感覚で自然に思いついてしまった。
お姉ちゃんとの特別な関係を一つ、自分の側に残しておきたかったから。
お姉ちゃんが最後に吐き出した終わりの想いを独り占めしたいという、そんな我がまま。
もしこれがばれたら、何かしらの罰を受けるのだろうか。
そんな小さな不安と後ろめたさは抱えているけれど、ばれない自信はある。
実際、今日までばれていないし、警察にすら見つけられていないのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます