花粉症
実は、干支の
ただ、2月末に公開すべきであった話が未完成だったので、それを先に公開することにした。
しばらくしたら順番を変更するかもしれません。あしからずご了承下さい。
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2月も半ばを過ぎると、早々とスギが花を開き、花粉を飛ばし始める。
うちの家族も、鼻水が増えたり、目のかゆみを訴え始めた。
子どもたちも、まだ小学生なのに目や鼻の不調を訴えて耳鼻科に行ったら花粉症と診断された。
思い起こせば、会社員時代には調査員にも花粉症の人は何人もいた。
自分はどうなのかというと、スギを始めとしてその他花粉症の症状は特にない。以前から花粉の飛び交う野山を歩き回っていたというのに。さらには黄色い煙のごとく花粉をまき散らすスギ植林の周りを歩き回っていたというのに。
なぜ花粉症シーズンにわざわざスギ植林に近付いたりするのかというと、そこに虫がいるからだ。
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春季の昆虫類調査は大体5月頃、ゴールデンウィーク明けから実施されることが多い。
4月は暦の上では春真っ只中であるが、昆虫類調査の時季としては少し早い。たまに冬なみに気温が低下して、虫が捕れなくなることもある。
しかし、早春にのみ成虫が出現し、通常の春季調査ではもう遅い、という昆虫もいくつかいる。さらにその中には、ギフチョウのように重要種とされる種もいる。
その場合、現場によっては春季調査とは別に早春季調査が実施されることがある。
さらに早春季調査には、重要種だけが対象のものと、普通の調査と同様に昆虫類全般を対象とするものがある。
そのうちの後者では、スギ花粉舞い散るスギ林に突貫してスギに付く虫を探さなければ……いや、重要種ではないので花粉症の人は近づかなくとも問題はないだろう。せいぜい確認種数が1種か2種減る程度だ。
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スギの害虫も何種類かいるが、比較的目立つのが数種のカミキリムシ。
なかでもスギノアカネトラカミキリという種は、材を変色させ林業に大きなダメージを与えるが、成虫は晩春から出現し、今回のテーマとは関係が薄い。
3月下旬、まだ年度末であり新年度調査が始まる前ごろから、あるカミキリムシの成虫がスギ林に出現し始める。
その名も、スギカミキリ。とは言ってもスギだけが食樹ではなく、ヒノキやアスナロなど、他の針葉樹にも付く。
比較的大型の、黒褐色のカミキリムシで前翅にオレンジ色の丸い紋が二対ある。
成虫の出現期は3月下旬から4月頃。大体スギ花粉の飛ぶ期間の後半であり、早春の昆虫調査が実施される時期でもある。
林業害虫であり、防除が行われているせいか、あまり見かけない。しかし、なぜか近年また増え始めたという話もある。
林業関係者の皆様には悪いが、なかなか見かけないので見つけるとちょっと嬉しい。放置するわけにもいかないので、捕まえて持ち帰る。
もう1種、少し遅れて4月から出現するのが小型の黒と赤のカミキリムシ、ヒメスギカミキリだ。
こちらはそれほど珍しくなく、早春季だけではなく春季調査でも確認される。
結局のところスギ林に入ってこれらの虫を探しても、合計種数が1種か2種増える程度なのだが、やはりその時期にスギの周りでみられる虫がいるとなると、そちらに行かざるを得ないのであった。
そうしているうちにスギ花粉の季節が終わりに近づき、早春季調査とスギカミキリの時季も時をほぼ同じくして終わりを告げる。
4月が終わり、ゴールデンウィークが過ぎれば、いよいよ春季調査、本格的な昆虫類調査が始まりだ。
しかし、花粉症はスギで終わりではない。
スギから少し遅れてヒノキ、さらには春から夏にかけてイネ科、秋にはブタクサやカナムグラと、花粉症の季節は続く。
人により花粉症の対象が異なる。昆虫以外を含む環境調査員の中でもある人はスギ、ある人はイネ科、ある人はブタクサと、いろいろな花粉症の人がいる。大人数で現場に行けば、どの季節も誰かがクシャミをしているということもある。
上記の全部という人にはまだあったことはないが、複数の花粉症にかかっている人もいた。
なお、筆者が花粉症になっていない理由は不明。単なる体質のせいかもしれない。
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