辰 ―リュウ―

 改めて書くまでもないだろうが、十二支の中で唯一実在しない生物である。


 一口にリュウと言っても、西洋のドラゴンから東洋の龍、他には二本の足と翼だけを待つワイバーン、足を持たないワームなど色々な種が存在する。

 このあたりを詳しくやってしまうと、ファンタジーのモンスター図鑑になってしまうのでその辺りは割愛する。


 さて、十二支では『たつ』という漢字がこのリュウに相当するが、実際にはリュウと読む漢字は龍と竜の二つが存在する。

 この二つがどう違うのかというと、実は中国ではもともと存在した龍という字を簡略化したものが竜の方であり、もともと二つの字には違いはないらしい。


 一方、日本では漢字の意味が変わってしまい、東洋のリュウを龍、西洋のドラゴンを竜といった感じで使い分けが行われることが多い。

 身も蓋もないことを言ってしまえば、結局は実在しない生物なので、決まった定義など存在せず、作品や状況によって色々な使い分けが行われているということになるだろうか。

 とはいえ、画数の多い龍の方が何やら強そうな感じがするので、小説やゲームなどでは龍の方をより強大な生物という設定をするものもよく見られる。

 有名なゲームでは、『モンスターハンター』シリーズが該当するだろう。竜の方は、二本の足と翼、もしくは四本の足を待つ爬虫類のような生物であるが、龍の名を待つ古龍という種族は、四本の足と二枚の翼を持った(こちらは結構例外が多い)はるかに強大な生物として設定されている。

 このカクヨムで更新滞り中の拙著、『レディアース博物誌』でも同じような設定が用いられている。いわゆる恐竜に似た爬虫類を竜、そしてかなり古い段階でそれらと分岐して進化したドラゴンたちを龍と表記している。


    ◆


 他方、漢字の生まれた国、中国では前世紀から漢字の簡略化が進み始めた。龍や竜も例に漏れずまとめて略されて、何やら犬に毛の生えたような字になってしまった。


 龙


 これが、龍および竜の簡体字である。

 おそらく機種依存文字なので、これが見えない方は『烏龍茶ウーロンちゃ 簡体字』とかで画像検索すると、見ることができると思われる。

 その場合、茶の字の前に出て来る字がそれだ。

 やっぱり変な犬にしか見えない、と思うのは筆者だけだろうか。


    ◆


 さて実在の生物であるが、リュウまたはそれに準ずるものの名を持つ種としては、まず魚類のタツノオトシゴが思い浮かぶ。他には植物のリュウゼツラン(竜舌蘭)。


 昆虫では、なかなか思い浮かぶものはないのだが、日本語ではなく海外に目を向けると、トンボの英名であるドラゴンフライが挙げられる。

 肉食性で鋭い顎を持っており、昆虫の中では食物連鎖の上位に位置すること、高速で自由に空を飛び回ることから名付けられたのではないかと思われる。

 一方日本では、トンボの名の由来は『ぼう』であるというのが最も有力な説だ。


 所変われば品変わるとはいえ、日本と英語圏で随分な温度差である。


    ◆


 さて、来年の事を話せば鬼が笑うなどという言葉もあるが……再来年(2024年)の年賀状の話である。


 今、前述のレディアース博物誌に登場するドラゴンたちをイラスト化するということを考えていたりする。

 ただ、リアルの知り合いにオリジナルのドラゴンのイラストなど年賀状で送ったりしたら引かれるだけと思われるが、このカクヨム上では近況報告に画像が添付できるようになったりしている。

 自己満足とはいえ、元はと言えばオリジナルモンスターのデザインがしたくて作ったような作品である。

 そのような形で年賀状を作ってみるのもまた一興かもしれない。


追記

 2024年年始に公開しました。正月に間に合わせるため急いで書いたのもありますが、まだ技術不足なのでそのうちリベンジしたいです。

https://kakuyomu.jp/users/r_hirose/news/16817330669275676472

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